中学生の塾の月謝は「平均4万7069円(東京都)」。「不動産デベロッパー」が学習塾買収に乗り出し、都市部のビルを開発するワケ

中学生の塾の月謝は「平均4万7069円(東京都)」。「不動産デベロッパー」が学習塾買収に乗り出し、都市部のビルを開発するワケ

学習塾業界の勢力図争いが激しさを増しています。不動産デベロッパーのヒューリックが、東京大学受験指導専門塾の「鉄緑会」を買収すると発表しました。ヒューリックは2024年に個別指導塾「TOMAS」などを運営するリソー教育をTOB(株式公開買付)で連結子会社化しています。

このように、学習塾業界において「不動産デベロッパー」という異業種からの参入が存在感を強めています。その理由を深掘りしていきましょう。

学習塾
画像はイメージです

◆利上げで転換期を迎えた不動産開発

ヒューリックは2026年2月竣工の東京駅前「TOFROM YAESU(トフロム八重洲)」などの開発に携わりました。都市部の商業ビルのほか、物流施設、リゾート施設など様々なタイプの不動産開発を手がける企業です。

同社の特徴は、開発した不動産の売却によって多くの利益を稼いでいる点にあります。三菱地所や住友不動産は賃貸に強みを持ち、東京建物は分譲マンション、東急不動産ホールディングスは仲介の比率が高いなど、大手・準大手デベロッパーでも稼ぎ方にはそれぞれのスタイルが存在します。

賃貸や仲介は収益性が安定しやすいものの、資産の売却で利益を得ると、投資家が重視する経営指標ROE(自己資本利益率)は高まる傾向がみられます。実際、野村不動産のROEは8.6%であるのに対し、ヒューリックは12.5%を記録。ただし、現在は日銀が金利を引き上げており、市況が悪化すると、見込んでいた価格で物件が売れなくなる可能性が出てくるなど、リスクの高いビジネスモデルとも言えるのです。

◆都市部教育市場へ挑むヒューリック

利上げの本格化に伴い、ヒューリックはM&Aを積極的に活用してビジネスモデルを進化させる方針を掲げました。不動産を商社化し、利益成長と企業価値向上を図ろうという狙いです。

2025年4月に開業した施設が「こどもでぱーと」でした。「こどもの教育」と「親の負担軽減」の支援を目指し、学習塾、学童・保育、運動・英語といった習い事教室の常設店舗や、曜日や時間帯ごとに多彩なプログラムを体験できる「こどもでぱーと Studio(スタジオ)」を設置。子どもを中核とする都市型のビルを開発しました。

子どもの教育と都市部という掛け合わせは、高い成長の潜在性を秘めています。文部科学省の調査によると、私立小学校に通う子どもの2023年の学校外活動費は71万円と、2021年の66万円から増加しました。公立小学校も2023年は25万6000円で、2年で8000円増加しています。

塾などにかける費用は依然として増加傾向にあるのです。

エリアごとのバラつきも存在します。フコク生命によるエリア別中学生の学習塾費用調査によると、1位の東京都は4万7069円だったのに対し、最下位の島根県は1万4000円でした。実に3万3000円以上の大きな差が生じている実態が浮かび上がります。

都市部で教育に特化したビルを開発したヒューリックの試みは、非常に先見性があると言えるでしょう。


配信元: 日刊SPA!

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