魔法の解決策はない。それでも、今からできること
リボ払いは、月々の支払額が一定に見えるため「きちんと払い終えている」と錯覚しやすい仕組みです。現役世代であれば、ボーナスなどでまとめて完済できることもありますが、年金生活では収入を増やす手段が限られ、「来月まとめて返そう」が難しくなります。
だからこそ、高齢者ほどリボ払いから抜け出しにくくなるのです。支払額の多くが手数料に充てられ、元金が思うように減らないことも少なくありません。手数料の実質年率は15%前後にのぼることもあり、年金という限られた収入の中では、この負担はより深刻になります。
そのため、「そもそもリボ払いを使わないこと」が重要です。まず、手元のカードが「自動リボ払い」の設定になっていないかを確認しましょう。会員サイトやアプリ、電話の自動音声から確認・解除できますが、解除しても一括返済をしない限り、過去分の残高への支払いは続く点に注意が必要です。
すでにリボ払いを使い、残高が大きく膨らんでしまっている場合は、自己判断で放置せず、日本クレジットカウンセリング協会や消費生活センターなどに早めに相談することをおすすめします。返済計画の見直しや任意整理も無料で相談でき、年金収入のみの高齢者でも利用できます。
「通帳や請求書を一緒に見る機会」を定期的に作ることは、仮に金銭援助ができなくても、家族としてできる“家計を見守る関わり方”です。
「大丈夫」という親の言葉の真意
淳一さんに付き添われて相談した淑子さんは、専門機関のサポートのもと、カード会社と交渉して今後発生する利息(手数料)を免除してもらいました。そして、「もしものときのため」に大切に取っておいた150万円の貯金を取り崩して、残りの元金をまとめて返済。自動リボだった残り2枚のカードも解約しました。
淑子さんの場合、最悪の事態にならずに済んだのは、淳一さんが早い段階で気づき、二人で専門機関に相談できたからです。発覚がもっと遅れていたら、返済できないほどの金額に膨れ上がっていた可能性もあるでしょう。
しかし、「これですべて解決」ではありません。手元の貯蓄は底をつき、頼りになるのは「年金だけ」という厳しい現実が残っているからです。
まず取り組みやすいのは、支出の見直しです。毎月必ずかかり続ける固定費から見直すだけでも、家計の圧迫感は変わってきます。あわせて、71歳という年齢でも、週2~3日程度の軽作業パートなど、無理のない範囲での就労を検討する余地もあるでしょう。
それでも難しい場合は、自宅を活用したリースバックやリバースモーゲージ、あるいは将来的な相続を前提に、息子である淳一さんへ仕送りを頼む方法も選択肢になり得ます。「いずれこのマンションを渡す代わりに、今は助けてほしい」という形であれば、一方的に頼る形にはなりません。
親が言う「大丈夫」というひと言は、本気で問題がないという意味ではなく、「子どもに心配や迷惑をかけたくない」という親心なのかもしれません。その言葉をそのまま受け取るのではなく、時には一緒に通帳を開いたり、世間話のついでにお金の話をしてみたりと、小さな一歩から“見守り”を始めてみてはいかがでしょうか。
三原 由紀
プレ定年専門FP®
