◆お金で買えない「問いかけ」の価値
お金を払って参加するパッケージ化された体験ツアーも、もちろん素晴らしいものです。しかし、そうした体験は時に「与えられたものを消費するだけ」の受け身の姿勢を生み出しかねません。それに対して、日常の中に転がっている「見過ごされがちな事象」にスポットライトを当て、自ら問いを立てて答えを探求する経験は、能動的な思考力を強烈に育てます。
これこそが、のちの学力や、AI時代に必須とされる「自ら課題を見つける力(非認知能力)」に直結すると私は考えています。
私自身、子どもの頃に旅行に連れて行ってもらった記憶はほとんどありませんが、その代わり、親と一緒に近所を歩きながら「あれは何?」「どうしてああなっているの?」と絶え間なく語り合っていました。
思えば、その「日常を観察し、考える癖」こそが、限られた資源の中で私を東大合格へと導いてくれた最大の武器でした。
親のちょっとした見識と、日常の風景に対する「問いかけ」一つで、子どもの世界はどこまでも広く、深くしていくことができる。
逆に言えば、親御さんたちにとっては、かなり酷な話でしょう。つまり、「子どもの成長に、親の教養や知識、勉強への姿勢が、ダイレクトに影響してしまう」からです。
まずは今日の帰り道、お子さんと一緒に身の回りの「なぜ?」を探してみてはいかがでしょうか。そこから、何十万円もの教育投資にも勝る、本物の体験が始まるはずです。
<文/布施川天馬>
―[東大卒作家・布施川天馬の教育キャリア通信]―
【布施川天馬】
著述家、教育ライター。 一般財団法人「ドラゴン桜財団」評議員。 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を編み出し、一浪の末東大合格を果たす。著書に最小コストで結果を出すノウハウを体系化した『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』など。株式会社カルペ・ディエムにて、お金と時間をかけない「省エネスタイルの勉強法」などを伝える。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

