年齢を重ねてたどり着いた「人生は感情を味わうため」
そうやって心身がやや安定していない時期を通り抜け、年齢を重ねていくなかで、50代に入ると周りで亡くなる人も少しずつ増えてきました。自分自身の残りの時間を考えたとき、ふと思ったんです。「地球に生まれてきたのは、この人生でさまざまな感情を体験するためなのかもしれない」って。
うれしいことや楽しいことだけじゃなく、更年期のしんどかった不調や日々のイライラやモヤモヤ、悲しさや寂しさも、すべての「感情」を味わうこと自体が、生きている意味そのものなんじゃないか、と思うようになったんですよね。
何でも体験してみればいいんだと思えるようになってからは、まだ起きてもいない未来への余計な心配が少なくなり、今を生きることに集中できるようになりました。
もちろん、そうは言っても仕事をしていますから、脳の衰えや物忘れに対する怖さはあります。
でも、そういうことも前向きに捉えていて。最近は脳が若返ると聞いてYouTubeで40Hzの音を聴いてみたり、ミトコンドリアを活性化させるサプリを試してみたり、もちろん脳トレも。
効果があるかはわからないけれど、そういうちょっとした悪あがきを自分で実験する感覚も、今という時間を味わうエンタメとして楽しんでいます。
悩む前にやってみる。できない時は「人のせい」でいい
新しいことを始めるときや、人生の選択に迷ったとき、どうしても足がすくんでしまうことがありますよね。
私は若い頃、大学を卒業しても就職をしませんでした。田舎の親からは電話口で泣かれるほど心配されましたが、「自分の人生は自分で責任を取るから、好きなようにやるんだ」と昔から決めていたんです。
その後、25歳で生まれて初めて漫画を投稿したときは、周りの漫画家さんは10代ばかりでぶっちぎりの最年長(笑)。2年後、2度目の投稿でデビューにつながる賞を受賞し、デビューできました。普通より10年遅い、28歳でした。
やってみれば、うまくいくか、いかないか、必ず何らかの「答え」が出ます。その答えが出てから、「じゃあ次はどうしようか」と直したり変えたりしていけばいい。やる前から悩み続けて終わってしまうのが、一番もったいないことです。
ただ、真面目で責任感が強い人ほど、できない自分を責めて苦しくなってしまうもの。だから私は、どうしてもできないときは「更年期のせいだから」「環境のせいだから」と、誰かや何かのせいにして、自分の心をラクにして生きていく方がずっといいと思っています、迷惑がかからない範囲でね。自分で抱え込みすぎて、心が潰れてしまうのが一番よくないですから。
人生、どんな道も選べると思っています。大事なのは、自分の選択を正解だと信じること。面白がったり笑ったりすることを忘れずに、自分が選んだ人生の答えを、楽しんでいきたいですね。
取材・文=梅津美希


