退職金から1500万円を捻出するも、実家は売れ残り負債へ
「しかし、実際に売却活動を始めると、建物が古く土地の形状も悪いため、買い手が全くつかず、査定額が大幅にダウン。結局、自分の退職金から1500万円を捻出して弟に渡しましたが、実家は売れ残り、現在は空き家状態で維持費と固定資産税だけがかさむ負債となってしまいました」

実家を売ったお金で弟への支払いを相殺するはずが、売却できずに丸々自分の退職金から持ち出す形に。結果として、男性の手元には「古い空き家」という負の遺産だけが取り残されてしまいました。
「日々の生活費には困りませんが、将来の自分たちの介護費用や家の修繕費への備えが大幅に削られた不安が常にあります。また、この金銭問題をきっかけに弟とは疎遠になり、冠婚葬祭以外で連絡を取らなくなったことが精神的な苦痛となっています」と綴る男性。
「親が残してくれた場所を守りたいという情に流され、冷静な判断ができていなかった自分に腹が立ちました。弟に対しても、少しは兄の状況を汲み取ってほしかったという憤りを感じつつ、法的な権利を主張されると言い返せないもどかしさがありました」と、男性は割り切れない思いを今も抱え続けています。
専門家の助言で「賃貸リノベ」へ。どん底から見出した復活の選択肢
このまま指をくわえて維持費だけを払い続けるわけにはいかないと、男性はついに解決に向けて動き出します。まずは不動産仲介会社数社に再度詳細な査定を依頼し、現実的な市場価値を把握。

さらに、弁護士と税理士に相談し、相続税の特例が受けられないか、あるいは弟への支払額を調整できる法的な余地がないかアドバイスを仰いだそう。また、自治体の空き家相談窓口へ行き、管理や今後の活用方法についての公的な支援策を調査したとのこと。
その結果、「弟へ支払った金額を戻すことはできませんでしたが、専門家のアドバイスにより、実家を『負動産』にしないための活用法として、リノベーションして賃貸に出すという選択肢が見つかりました。現在は小規模な修繕を行い、入居者が決まったため、家賃収入で固定資産税と維持費を賄えるようになり、家計への負担は軽減されました」と、実家を収益物件に再生させることで、辛うじて家計の破綻を防ぐことができたそうです。
もし当時の自分に戻れるなら、「親が存命のうちに、実家の処分について兄弟を含めて徹底的に話し合い、公正証書遺言を作成してもらうよう働きかけます。また、不動産の価値を『査定額』という机上の数字で信じるのではなく、実際に売れる価格を複数のプロの目から厳しく見積もった上で、書面での合意形成を慎重に行うようにします」と感情論を排除し、徹底的に現実的な防衛策を取ると回答。
最後に、 「目に見える資産である不動産の流動性の低さと、現金を確保しておくことの重要性を痛感しました。今後は資産の守り方をより慎重に考えたいと思います」と老後資金を失うという大きな痛みを経て、私たちが肝に銘じるべき貴重な教訓を教えてくれました。
(文:ママテナ編集部マネーチーム)
※この記事は、ママテナ編集部マネーチームが2026年7月、「お金にまつわるトラブル」をテーマに実施したアンケート(インターネット回答)に寄せられたエピソードを元に作成しています。
※写真はイメージで本文とは関係ありません。
