◆「ありのままの自分」を好きになれなくてもいい
現在、小渡さんは認知行動療法を提供する心理士とタッグを組み、認知行動療法の考え方に基づいたメンタルヘルス支援に取り組んでいる。また、見た目の悩みを抱える当事者が話し合えるコミュニティも運営。孤独の解消に励んでいる。他者と容姿の比較が簡単にできる今の時代を生き抜く上で大切なのは、「かわいくなりたい」という気持ちを否定しないことと「かわいくないと価値がない」という考えに飲み込まれないことの両方だと小渡さんは話す。
「本当に苦しいコンプレックスは好きになれなくて当然。だから、ありのままの自分を好きになるより、まずはコンプレックスによって生活がどれくらい制限されているのかを把握し、生活に支障がでない状態を取り戻すことを目指してほしい」
◆醜形恐怖症は「どんな容姿の人でもなり得る」
また、第三者から外見に対する暴言を受けた時には「相手の問題」と捉え、客観的な評価だと思わないことも自分を守ることに繋がると小渡さんは話す。「ネットでは、醜形恐怖症は美形な人に多いとの情報が流れていますが、どんな容姿の人でもなり得る病気だと感じました。認知が歪んでいると自分を客観視できないので、容姿の悩みで生活に支障が生じた時は『醜形恐怖症かどうか』や『自分は本当にブサイクなのか』の自己判断は避けてほしいです」
この社会には、見た目によって扱いが左右される理不尽さがたしかにある。だからこそ、小渡さんは「外見を楽しむ自由」と「外見で苦しんだ時に助けを求められる環境」の両方が社会にあってほしいと願う。
「自分を好きになれなくても、苦しんでいる自分を責めないで。外に出られない、写真が怖い、鏡を見るのがやめられないなどの苦しみは、気合いだけでどうにかできるものではありません。信頼できる人や専門家、同じ悩みを持つ人に打ち明けてほしい。もちろん、私に話してくれてもいい。待っています」

整形は魔法ではない。小渡さんが得たその気づきは、ルッキズムの呪縛から逃れられない人の心に刺さることだろう。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
フリーライター。生まれつき心臓病で脾臓がない。得意な執筆ジャンルは生きづらさ、障害、猫。おキャット様と快適に暮らせる家を建てたほど、私生活では猫の下僕。X:@yunc24291

