
◆被害者遺族からの印象的な言葉
——刑事として最も心に刻まれている経験はどのようなものですか。佐々木:刑事としても中堅の域に差し掛かっていたとき、ある被害者遺族の母親にこう言われました。「成三くんは私たちと同じ気持ちになろうとしているでしょ。でも、それは間違いだから」と。被害者の遺族になったことのない私が、同じ気持ちになろうとしていました。それは思い上がりだったんです。その言葉で、今まで自分がやってきたことが全部ガクンと崩れ落ちる感覚がありました。
◆刑事としての業務だけでなく“人として寄り添うこと”の大切さ
——ではどうすればよかったのでしょうか。佐々木:その方がおっしゃったのは、「もちろん業務的なことでのコミュニケーションにおいても、感謝していることはあります。でも、何もない日の朝に『体調はどうですか』と電話してくれるような、そういうことをしてほしかった」ということでした。支援とは、目に見える大きな行動だけではない。些細な気遣い、ただ寄り添うというその手前のことが、本当の支援の入口なんだと、そのとき初めて気づきました。

