◆忘れられない朝の光景と恐怖

20代前半の上條さんは部屋に一人。廊下には泥酔した年上の男性たちが大勢いる。ドアを開けて彼らを起こそうとは、とても思えなかった。もし目を覚ました瞬間に何をされるか分からない。昨夜、警察を呼んだのが自分だと気づかれていたら……。そう考えるだけで、恐怖で体が動かなくなったのだ。
「私はすぐにドアを閉めて再び施錠し、警察に通報しました。大学にも事情を説明し、遅刻する旨を伝えました。警察が到着すると、泥酔していた男性たちはようやく起こされ、その場を立ち去りました」
しかし、共用廊下にはゴミが散乱。空き缶や食べ残し、そして嘔吐物……。足の踏み場を探すのも大変な状態だった。
その後も深夜の宴会は何度も繰り返され、上條さんはそのたびに警察へ通報した。他の住人からも苦情が入っていたようで、最終的には管理会社が対応し、その男性は退去することになったとか。
静かな生活は戻ってきたが、この出来事は上條さんに深い心の傷を残した。夜中に物音がするたびに玄関の外を確認するようになり、帰宅するのが怖くなった時期もあったという。
「あの日、玄関の向こうで折り重なるように眠っていた男たちの姿が、今でも鮮明に思い出されますね」
隣人トラブルは、当事者同士で解決しようとすると、思わぬ危険を招くこともある。恐怖を感じた際は無理に接触せず、警察や管理会社に相談することが重要だ。
<取材・文/日刊SPA!編集部、藤山ムツキ>
【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo

