高輪の新しい街で見つけた「ちいさな地球」
湿気や突然の雨、厳しい暑さが続く東京の夏。「駅直結」という言葉のありがたさを、これほど実感する季節もない。うんざりするような天気の日でも、改札から屋根のある通路を進み、傘をささずに目的地へたどり着ける。
向かったのは、「TAKANAWA GATEWAY CITY」内のニュウマン高輪にある「MIMURE」。食や自然、生産者とのつながりを体感できる店舗が集まるエリアだ。
その一角にある「AGRIKO×MIMURE BOTANICAL Lab」は、東京にいながら自然の循環を肌で感じ、体験できるファームラボだ。ラボの中では、「アクアポニックス」と呼ばれる循環型農業が昼夜問わず稼働。一見すると実験施設のようだが、自然界で起きている水と栄養の循環を、小さな規模で再現した仕組みなのだという。
新しいショップや飲食店が並ぶ都市空間の中に、植物と魚による「ちいさな地球」がある。その意外な取り合わせが面白い。
「へぇ」が止まらないファームラボ
「アクアポニックス」は二層になっており、上部の水耕栽培では季節のハーブやエディブルフラワーを育て、下部の水槽ではティラピアやホンモロコ、チョウザメなどの淡水魚が忙しなく泳いでいる(取材当時)。
チョウザメといえば、キャビアでおなじみだ。ティラピアやホンモロコは同じ建物内の飲食店へ卸され、料理として提供されることもあるという。目の前で泳いでいる魚が、この街の食につながっている。単なる展示ではないと分かった瞬間、ラボの景色が急に身近なものに感じられた。

では、ここにある植物と魚は、どのように循環しているのだろう。
魚の排泄物をバクテリアが分解し、その過程で生まれた栄養が植物を育てる。そして植物によって浄化された水が、再び魚たちの水槽へ戻っていく。これが「ちいさな地球」と呼ばれるエコシステムなのだが、仕組みだけを文字や図で見ても、すぐには実感しにくい。しかし実際に植物が育ち、魚が泳いでいる姿を目の前にすると、その循環が急に現実のものとして見えてくる。
「AGRIKO×MIMURE BOTANICAL Lab」では、植物の香りや水の音、魚の動きを追っているうちに、「この魚も食べるの?」「この花も食用なの?」と、次々に質問したくなる。ここでは説明を受ける前から、自然と好奇心が動き始めるのだ。
