大人になってから出会う、とうもろこしの知らない一面
「AGRIKO×MIMURE BOTANICAL Lab」が一般開放するのは主に土日と祝日を中心とした、ワークショップの開催日。定期的に行われるさまざまな体験がこの場所最大の売りだ。この日は京都から運ばれてきた140株の『舞コーン』が所狭しと置かれ、ラボはとうもろこし畑さながら。
今回体験するのは、収穫に適した期間がわずか5日間で、メロンなどの甘い果実にも劣らない、糖度が最高22度にもなるという希少な舞コーンだ。舞コーンを育てるロックファームのスタッフが、作物の特徴や育て方をミニクイズを交えて紹介すると、子どもたちも保護者も次第に話へ引き込まれていく。収穫前に完熟した舞コーンを試食すると、今度は自分でもおいしい一本を探してみたくなった。
採る際の注意点や、おいしいとうもろこしの見分け方を教わったら、いよいよ収穫へ。子どもたちに混じり、ヒゲがしっかり茶色くなり、実がふっくらとした一本を探す。
とうもろこしの葉は、想像していたよりも硬く、少し鋭い。小さな実でも甘いのだろうか。スーパーや道の駅で、すでに収穫されたとうもろこしを見比べるときとは違い、一本の実をじっくり観察する時間が自然と長くなる。

2本を収穫すると、「まずは小さい方を食べてみてください」と促された。半信半疑でかじると、水分は豊富だが、甘さはまだ控えめで、青々とした香りが残っている。収穫前に試食した完熟の舞コーンとは、味わいが明らかに違った。
「甘さの違いや食べ頃の大切さを知ってほしい」という農家の言葉を聞き、なるほど、この比較まで含めて収穫体験なのだと腑に落ちた。
見て、触れて、味わううちに、自分の中に疑問が生まれてくる。目の前の食材だけでなく、その背景にいる生産者や、食べ頃を見極める知恵まで、少しずつ見えるようになる。ここは、知識を一方的に教わるのではなく、自分から知りたくなる場所なのだ。
これまでにも、アクアポニックスで育てたハーブやエディブルフラワーを使ったサラダブーケ作り、梅シロップの仕込みなど、季節に合わせたワークショップが開かれてきた。内容は変わっても共通するのは、食材を完成品として受け取るだけでなく、手を動かしながらその背景に触れられることだ。
※過去開催された「AGRIKO×MIMURE BOTANICAL Lab」でのさまざまなワークショップの様子
高輪の街で、知りたくなる時間に出会う

収穫体験を終えたからといって、とうもろこしに詳しくなったわけではない。それでも次に店頭で手に取るときは、ヒゲの色や実の太さを、これまでより少し丁寧に見るだろう。食材がどのように育ち、いつ食べ頃を迎えるのか。一度でもその背景に触れると、いつもの買い物や食事の見え方が少し変わる。
新しく生まれた高輪の街には、買い物や食事だけではない過ごし方が少しずつ増えている。そのひとつが、このLABだ。何かを一方的に教えられるのではなく、自分から知りたくなる。そんな時間が、この街にはよく似合う。
AGRIKO×MIMURE BOTANICAL Lab
公式Instagram:https://www.instagram.com/botalab0328/?hl=ja
