なんで私が…「実家のアパート」を相続した50歳姉。税務署からの〈督促状〉で発覚した「追徴課税700万円」に絶句【CFPが解説】

なんで私が…「実家のアパート」を相続した50歳姉。税務署からの〈督促状〉で発覚した「追徴課税700万円」に絶句【CFPが解説】

遺産分割協議において、「不動産」は分割しづらい資産であることから、トラブルの原因になりがちです。「姉(兄)だから」といった理由で名義変更を行っても、実際の管理を別の人物が担っている場合、場合によっては数百万円規模の追徴課税が発生する可能性も……。本記事では、50歳女性の事例をもとに、不動産相続で思わぬ追徴課税が生じるケースとその予防策について、CFPの山原美起子氏が解説します。

ある日、姉のもとに届いた税務署からの「一通の手紙」

地方で一人暮らしをしているサワコさん(仮名・50歳)は、届いた郵便物をなにげなく開いた瞬間、凍りつきました。

「上記のとおり滞納となっておりますので、至急納付してください」

中身は、納期限までに支払われていない税金について速やかな納付を求める、税務署からの「督促状」でした。会社勤めで給与以外の収入がないはずのサワコさんは、まるで狐につままれたような気持ちです。

しかし、よくよく思い返すと、一つだけ心当たりがありました。

数年前に母が亡くなった際、遺産分割協議で実家のアパートを相続したのです。登記名義も自分に変更したものの、1階には、離婚後に実家へ戻っていた妹のアキコさん(仮名・48歳)がそのまま住んでいます。ただし、2階部分は空室のはずです。

嫌な予感がして妹に確認すると、空室のはずの2階について、「もったいないから貸している」といいます。しかも、その家賃は申告されないまま、アキコさんの生活費に充てられていることが判明しました。家賃収入は姉名義で発生しているにもかかわらず、確定申告はされていないようです。

固定資産税の支払いだけは姉の口座から引き落とされていたものの、その他の管理は妹に任せきりだったため、税務署から届いていた「お尋ね」や「通知」にも気づかず、最終的にサワコさんの居住地へ「申告漏れに関する督促状」が届く事態となりました。

姉に代わって対応していたアキコさんに悪意があったのか、事の重大さがわからなかったのかはわかりません。しかし、姉に報告することなく放置した結果、最終的に納税者本人であるサワコさんの居住地に「督促状」が届いたのでした。

「なんで私が税金を払わなきゃいけないの? 1円も家賃を受け取っていないのに……」

サワコさんは、妹に対する怒りと同時に疑問が湧き上がってきました。

【CFPが解説】不動産は「名義人」が負う税務上の責任が重い

ここで、多くの方は「実際に家賃を使っていた妹が税金を払うべきではないか」と考えるでしょう。

たしかに、税金には名義だけで判断せず、実際に所得を得た人を課税対象とする「実質所得者課税の原則」があります。しかし、不動産所得の場合は、収益の源となる不動産の“真の所有者”が誰かが重要になります。

共有名義であれば持分に応じて所得を分けますが、本事例のように、法律上も実質上もサワコさんが単独所有者であり、妹は単に管理を任されていただけであれば、家賃収入は原則としてサワコさんに帰属すると判断される可能性が高いです。

受け取った家賃を妹が使い込んでいたとしても、それは姉妹間の精算や返還請求の問題であって、税務上の申告義務がなくなるわけではありません。

とはいえ、督促状が届く段階ともなると、本来納めるべき所得税等に加え、申告しなかったことに対する「無申告加算税」や、納付が遅れたことによる「延滞税」が発生します。なお、延滞税は納付日まで増え続けるため、放置した期間が長いほど負担は重くなります。

翌年度以降生じ得る住民税の増額分なども合わせると、サワコさんの負担額は700万円超に膨れ上がっていました。最終的に、自身の預貯金だけでは納税資金を用意できず、サワコさんは実家のアパートを手放して支払うことに。

退去せざるを得なくなった妹とは互いに「あんたのせいで!」と責め合い、結果として親から受け継いだ財産も、家族の絆も消えてしまったのでした。

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