その後、男性はヤラセであると釈明したが、不明な点も多く、背後関係に関してさまざまな憶測が流れた。

◆「今の六本木は歌舞伎町より安全なんです」
これをきっかけに「六本木はやはり得体の知れない怖い場所」……といった声も少なからず上がったが、2000年代初頭から2010年代前半にかけて、六本木でキャッチ・スカウトグループの幹部として活動し、今なお街の動向をウォッチし続けるインフルエンサー山本武彦氏(52歳)は次のように話す。「今の六本木はむしろ、歌舞伎町より“安全”なんです」
幼少期から麻布・六本木界隈で育ち、最盛期にはある六本木キャバクラの担当キャッチとして、1人で月1億5千万円の売上を叩き出したという伝説を持つ。山本氏が語る六本木像は、一般人の抱くイメージとはかなり異なる。
「六本木って、一般人から見たら、成り金が集まる、派手で、半グレが跋扈する怖い街だと思われているけれど、実は逆。まったく安全安心な街なんですよ、もう20年以上前からそれは変わらない。だからIT系社長から詐欺で儲けた連中まで、現ナマ持っている人間が集まってくるんです。とにかくトラブルの少ない街。歌舞伎町とは大違いです」
◆暴力団どうしの”均衡”が保つ六本木の”治安”
確かに、2000年代に起きた海老蔵事件や朝青龍事件、2012年9月の半グレ集団”関東連合”による六本木フラワー事件などは、この街に「半グレの街」という負のイメージを定着させた。しかし山本氏に言わせれば、それはあくまでも表層の話に過ぎないのだという。そこには六本木独自の“治安ロジック”が働いているというのだ。数年前まで六本木を根城に活動していた元暴力団幹部のA氏は、こう明かす。
「六本木は3つの組織がかっちり支配している。今も昔も。1つは山口組系のA、二つ目は住吉会系のB。そしてもっとも勢力があるのがアマンド界隈を取り仕切る住吉会のまた別の組織Cだ。その下に関東連合系、怒羅権系の半グレがぶら下がっているイメージ。凶悪と恐れられてきたこれら半グレたちも、きちんとヤクザに仁義を通したうえで商売している」
山本氏も同様の認識を示す。新宿歌舞伎町は大小さまざまな暴力団組織、半グレ組織が入り乱れ、通りどころか雑居ビルに入っている飲食店ひとつひとつに別のケツモチがいる、いわば「ぐっちゃぐちゃ」な状態だという。
「派手に飲んでいれば狙い撃ちにあう可能性もある。それに対し六本木は、3つの暴力団によるシマ割りが明確で、それぞれが縄張りを守り、共存共栄している。だからこそ、争い事もトラブルも、他の繁華街と比べて極めて少ない。IT企業の社長などカタギの金持ちが安心して飲めるのは、こうした背景があるからですね。最近は九州の組織も入ってきていますが、基本的に昔からこの3つ組織がうまくまとめています」

