衝撃の査定額…「身動きがとれなくなった」
今年で59歳を迎える雅之さん。老後を見据え、夫婦ふたりで暮らすためにアクセスの良い駅近の中古マンションを検討したいと、自宅の売却査定を不動産会社に依頼しました。住宅ローンは残り5年。残債は約380万円残っています。
「3,800万円で買った家だし、いくら値下がりしていると言っても1,000万〜1,500万円くらいにはなるだろう。ローンの残りを払っても、次の家の頭金くらいにはなるはずだ、そう思っていたんですけどね」
雅之さんに、不動産会社の担当者は現実を突きつけました。
「建物の評価はほぼゼロです。土地として見ても、このエリアでは需要が弱く……解体費を考えると、売却価格は300万円前後になる可能性があります。それも『幸運にも売れた場合』です」
査定額の300万円で売れたとしても、ローンの残債380万円すら完済できません。手持ちの貯金を切り崩してローンを清算しなければならず、次の家を借りる・買うための資金など一切残らない計算です。
「老後、車に乗れなくなったときにどう生きていけばいいのか……。どうにも身動きが取れなくなってしまいました」
人生最大の買物だからこそ、購入時に考えるべきこと
購入当時は「夢の街」に見えても、数十年後に厳しい現実に直面するケースは少なくありません。では、何に気を付けるべきなのでしょうか。
まずは、開発計画や噂を過信しないこと。将来駅ができる、路線が伸びる、大型施設ができるといった都市開発の噂や予定は、景気や自治体の財政状況によって変更・凍結されることがあります。
次に自治体の財政力やインフラ維持力を確認すること。人口が減少し、税収が落ち込んだ自治体では、道路の修繕、ゴミ収集、街灯の維持、医療サービスの提供などが難しくなりがちです。単に家屋の価値だけでなく、その自治体が30年後もインフラを維持できるかという視点が不可欠です。
住宅は「人生最大の買い物」でありながら、30年後の出口戦略まで考えて購入する人は多くありません。一見すると魅力的な物件であっても「今だけ」を見るのではなく「先」を見ることが、後悔をしないための重要な鍵となります。
