◆車掌にチクられた男の末路は…
名古屋駅で加藤さんの怒りは頂点に達した。「名古屋でも乗ってきた男性に『ここ、私』と咎められていました。その後、しばらくして男が名古屋で降りた人の席に座ったことで、『自由席券しか持っていない』と確信しました。乗務員室まで行き、『自由席券で指定席に座っている男がいる』と申告しました」

「乗車券の提示を求められた男は『違うんです』と浮気がバレた男のような意味不明な言い訳をしていました。すると先に座られ『違う』と指摘した乗客の1人が『この人、ずっと他人の席に座っていましたよ』と申告。『俺も見た』『私も被害にあった』と声が上がったんです。結局乗務員室に連れて行かれることに。どうなったかはわかりませんが、おそらく、差額を請求されたのではないでしょうか。常習性があった場合、刑事罰を受けた可能性もあると思いますよ」
自由席券で指定席に座る行為は契約違反であり、鉄道営業法第29条(有効な乗車券なしの乗車等に対し、2万円以下の罰金または科料を定める規定)に抵触する可能性がある。なによりも気分良く移動したい乗客に対する迷惑行為。くれぐれも繰り返さないでほしいものだ。
<TEXT/佐藤俊治>
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◆■“車内改札”が消えた新幹線、いまはどう見張られている?

東海道新幹線で「車内改札の省略」が始まったのは2016年3月のダイヤ改正から。JR東海のプレスリリース「東海道新幹線における車内改札方法の変更について」によれば、これは“チェックをやめた”のではなく、“チェックの方法が変わった”ということのようです。
仕組みはこうなっています。乗客が自動改札にきっぷを通すと、「どの列車の・何号車・何番の席のきっぷを持った人が改札を通ったか」というデータが、走行中の車掌が持つ携帯端末に送られます。車掌の手元には、担当列車の各座席について「そのきっぷを持つ客が改札を通ったかどうか」が表示されている状態です。加えて2015年のJR東海リリースには、「きっぷの券面に記載された座席とは異なる座席をご利用の場合は、これまで通り車掌がきっぷを直接拝見して改札させて頂きます」と明記されています。改札が省略されるのは、あくまで券面どおりの席に座っている人だけ、ということです。
JR東海が2018年に在来線特急向けの新型端末を導入した際のプレスリリースでも、「指定席・グリーン席では空席の有無や利用区間といった各座席の発売状況を端末で正確に把握できる」と明記されています(在来線特急の話ですが、新幹線でも同様の仕組みです)。要するに、車掌は自分の列車のどの席がいま空いているか、どの席のきっぷの客が改札を通ったかを、端末を見れば把握できるということです。
だから、空いているはずの席に人が座っていれば、その状況は車掌の端末上で「不整合」として浮かび上がります。加藤さんが目撃した男性のように駅ごとに違う席へ移動する行為も、周囲の乗客の”気づき”と端末情報を組み合わせれば、遅かれ早かれ気づかれる仕組みになっているわけです。

