◆定年後の孤独につけこまれてしまった

「驚いたのは、世の中にはこんなに詐欺師というか、人を騙そうっていう連中が多いことでした。私は年金暮らしですから、年収は200万円に届かない程度で、見た目も平凡。そんなプロフィールを正直に書いているのに、年収1500万円の美容師を名乗る美女から『お友達になりたいです』なんていうお誘いがDMなどで来る。もちろん、業者だとはわかっていたんですが、好奇心があるからやりとりして遊んだりね。だから、絶対に自分だけは騙されないと思っていたんです」
石原さんは、語学が堪能であったことから外国人女性との出会いを探していた。そうした中で、SNS上で50代の欧米女性と知り合った。やがて、DMでも親密にやり取りをするようになり、一時は結婚まで真剣に考えていたという。
「別にお金を要求してくるわけでもないし、こちらのメールアドレスや電話番号のような個人情報を教えてほしいとも言わない。でも、気になったのは、お互いの写真を送り合う時に、なんか妙にセクシーなやつばっかりを送ってくる。しかも、部屋の中とかじゃなくて、大草原とか大きな滝が背景とか、そういうのばっかり。いくら海外といっても、そんな頻繁に自然がある場所には行けないでしょう?」
◆画像検索で正体を見破る
石原さんは違和感を覚え、送られてきた画像を画像検索や海外サイトで調べてみた。すると、同じような構図や人物画像が複数見つかり、AIで生成・加工された画像である可能性が高いことがわかったという。「海外のサイトに、いろいろな性的趣向を持つ男女が集まるコミュニティがあったんです。その掲示板には、滝の前で男女が抱き合っているような写真がたくさん載っていて、『この画像をAIで加工して使っているのかな』と思いました。おそらく、日本人を勧誘するためにDMしてくれたんでしょうね……」
この時は画像の不自然さに気づき、深刻な被害には至らなかった。しかし、その経験がかえって、「自分は詐欺を見抜ける」という過信につながってしまったと話す。

