老後資金計画が「台無し」に…息子の借金1,000万円を肩代わり
文字通り無一文になったダイキさん。妻から追い出される形で、実家に転がり込んできたのです。
話を聞いたカズオさんとユキコさんは、開いた口が塞がりませんでしたが、かわいい一人息子を路頭に迷わすわけにもいきません。
早急に対応しなければならないのが、借金の返済です。しかし、ダイキさんには、今、借金を返済できる見通しがありません。
そこで、カズオさん夫婦は仕方なく自分たちの老後資金から1,000万円を借金返済に充てることにしたのです。
借金の返済ですぐに生活に困るということではありませんが、急激に老後資金が減ってしまったことに対する精神的ダメージは否めません。それ以降、お金の心配が頭から離れなくなってしまったのです。
老後資金計画を根底から見直さなければならないと思いました。
【CFPの助言】共倒れを防ぐ「老後資金の再設計」と親の線引き
予期せぬトラブルによって、老後資金計画が破綻しかけるという事例は少なくありません。そのような場合、生活自体を見直して老後資金計画の再設計をすることが必要です。
緊急時に対応できる現金の確保
借金を肩代わりしたことで、2,000万円あった資産のうち預貯金1,000万円が消失してしまいました。そのため、残りの資産は「株・投資信託1,000万円」のみとなってしまいました。
懸念点のひとつに、現金が不足していることで、急な出費に対応が難しくなっていることが挙げられます。
この先、年齢的なことを考えると、突発的に医療費がかかることや、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの必需品が急に故障してしまうこともあるでしょう。投資商品は価格変動リスクがあり、かつ現金化するまでに多少のタイムラグがあるので、急な出費には対応しづらいという側面があります。
緊急予備資金として、一定額を投資商品の一部から「現金化」しておくことが得策といえるでしょう。
収支の再点検
今一度、支出に無駄がないかを点検して、28万円の年金収入の範囲内で生活することを徹底することも大切です。普段の生活で老後資金を取り崩さないよう生活基盤の再構築を試みる必要があります。
また、67歳という年齢を考えれば、働いて収入を増やすことも検討してみてもいいかもしれません。
内閣府の高齢者の『就業状況調査』によると、65歳~69歳の男性では約63%、女性では約45%が働いているという結果が出ています。長生きリスクに備え「働けるうちは働きたい」という就労意欲の高い高齢者は増加しているようです。
自分の「心と身体」に相談しながら、年金以外に少しでも収入を得ることができれば将来への見通しも明るくなります。
子の経済的自立の支援
ダイキさんは、資金援助により借金は清算できたものの、根本的な解決には自身の自立が不可欠です。
無一文で実家に居座る状態を長期化させないように再就職までの期限を決めること、再就職後は少額でも実家に生活費を入れることなど、早期の自立を促すルールづくりが重要です。
同時に、また同じ問題を繰り返してしまうことのないよう正しい金融リテラシーを身につけてもらいましょう。
親が「してやれること」と「できないこと」の線引きは大切です。
