しかし夫は、彼女が作品に真面目に取り組む姿勢に理解を示し、現在は活動を認めてくれているという。

なぜ彼女は既婚者でありながら、“セクシー女優” を目指したのか。現在、夫とはどのような関係性にあるのか。デビューから6年経った今だからこそ語れる真実を語ってもらった。
◆「1本だけ出てみたい」と、事務所の門を叩いた

「はい。正真正銘の人妻です。夫には黙ってデビューしちゃいました」
――この世界に興味をもったきっかけは?
「私、もともと綺麗な女性が大好きだったんです。21歳くらいからグラビアを見るようになって、その流れでセクシー女優さんを知るようになりました。ちょうど恵比寿マスカッツがテレビの地上波で番組をやっていた時期だったので、芸能人として見ている感覚でしたね。セクシー女優が好きだった昔の彼氏の影響で、作品も見たりしていましたよ。でも、その頃は自分がなれるものだとは、ぜんぜん思っていませんでしたね」
――それがなぜ、34歳というタイミングで?
「たまたま見かけたネットニュースで『30代でセクシー女優になる理由』みたいな記事を目にしたんです。それが、ちょうど三十路を越えて『このまま年を重ねていったら私はどんどん衰えていくのかな……どうなっちゃうんだろう……』と不安に感じていた時期だったんですよね。30代でもセクシー女優ってできるの!?って、驚いたと同時に天啓を受けたような気持ちになりました。でも、実際に女優になろうとするまでには、紆余曲折あったんですよ」
――すぐに事務所に応募したわけではない?
「まず私の中にあったのは、『今の自分の姿を何かの形にして残しておきたい』という願望だったんです。だから最初はヌードグラビアを撮るためにカメラマンを探していたのですが、怪しい人も多そうで怖かったんですよね。あと、ラブドールの会社に問い合わせもしました。『私をラブドールのモデルにしてください』って。もちろんすぐに断られました……」
――いったい何をしているんですか(笑)。
「迷走していましたね~。今思うとめちゃくちゃ恥ずかしいです。で、そんなこんなで辿り着いたのが『セクシー女優になって、こっそり作品を撮ってもらうこと』だったんですよ。あくまでも、こっそり。面接で『1本だけ出てみたいです』って言ったら、ちょっと怪しまれちゃいました(笑)。確かに事務所からすれば、何言ってるんだって感じですよね」
――それでも、話は聞いてくれたわけですね。
「はい。そしたら『1本だけでも身バレするリスクはある』とか『残したいだけならばセクシー女優という手段でなくてもいいのでは』とか、真摯に教えてくださったんですよ。ここ、ちゃんとした会社だ!って感激しました」
――そのうえで、木下さんが出した結論は?
「身バレするかも、という点で迷っていたのですが、『デビューしたら写真集は出せるかも』と言われて、『写真集!?ステキ……』となってしまったんですよね。それでデビューを決意しました(笑)。
それに、なんだかんだ言ってもバレないと思っていたんですよね。こんなに数多の作品が存在する世界なら、私が出た作品なんてすぐに埋もれてくれるはずだと考えていました」
◆カミングアウトしたら「夫は1週間くらい放心状態でした」

「実は、その時点でもかなり揺れていましたね。『ヤバい。これは人生最大の決断になるぞ』って、ずっと思っていました。まさかマドンナの専属女優になれるとは考えてもいなかったから……。でも、DVDのパッケージを私1人で撮ってもらえるって聞いて『何それ、カッコイイ!』って、大喜びもしていたという(笑)」
――迷いが晴れたのは、どんなタイミングだったのですか?
「デビュー作を撮影した時です。こんなに真剣に、たくさんの人たちが関わってくれていることにビックリしたんです。軽い気持ちでこの世界に入ったけど、現場を見たらすごくクリエイティブな空間で感動してしまいました。もう旦那のことはどうでもいいかなってくらい(笑)」
――夫婦関係が上手くいっていなかったのですか?
「そうですね。デビュー前からどこか表面的な関係になっていましたが、デビュー後は明確に不仲になっていきました。日々の生活の中で、私が夫からないがしろにされていると感じるようになってしまったんです。一方、私も夫に隠しごとをしている後ろめたさがあったから……。デビューから2年経った頃、ついに『私は自分の生きたいように生きていきます!』と宣言して、セクシー女優であることを告白してしまいました」
――その時の旦那さんの反応は?
「ショックだったようですね。1週間くらいは放心状態でした。その後も私に対しては優しくしてくれていましたが、ずっと夜も眠れないみたいでした。私の決意を汲んでしまったがゆえに、精神的に不安定になってしまったようです」
――現在も結婚生活は続けていますよね。どのように関係を修復していったのですか?
「私が仕事をしながらも家庭を疎かにしない姿を見て、理解を示してくれるようになったんです。私の一生懸命さが伝わったのかもしれません。本当に少しずつですが、冷めていた夫婦関係が温かくなっていきました」
――「仕事を辞めて欲しい」とは言われなかったのですか?
「私がやりたいことに突っ走る性格なのを熟知しているので、反対はされませんでした。もともと友達みたいな関係性の夫婦でしたし、束縛も強くないタイプなんです」
――じゃあ、今は応援してくれている?
「というか、私の人生がキラキラして充実したものに見えている感じですね。この間も仕事で台湾に行ってくるって言ったら、『楽しそうだね……』と呟いていました(笑)。撮影の翌日は私が筋肉痛で苦しむ姿をさらしているのですが、それすらも夫からすれば『なんだかカッコいい』らしいです」
――微笑ましい夫婦の会話(笑)。
「やりたいことを認めてくれる相手と結婚できた私はラッキーだったと思いますよ。でも、もしセクシー女優になっていなかったら、あのまま夫婦関係は完全に冷めきっていたかもしれない。今みたいな絆は生まれていなかったと思います」

