帰省時の新幹線や高速道路の大渋滞で「体調を崩してしまう人」がやりがちなこと。“動画視聴”と“水分控え”に要注意

帰省時の新幹線や高速道路の大渋滞で「体調を崩してしまう人」がやりがちなこと。“動画視聴”と“水分控え”に要注意

◆渋滞が怖くて水を控えると、運転ミスが2倍?

渋滞
※写真はイメージです
次に、車で帰省する人がやりがちな落とし穴です。大渋滞でトイレに行けなくなるのが怖くて、出発前から水分を控える。これは思い当たる人も多いのではないでしょうか。

イギリスのラフバラー大学は、健康な男性11人を対象に、軽い脱水が「長時間の単調な運転」にどう影響するかを調べました。前日から水分を十分にとる日と、大幅に控える日の両方を設け、翌朝、高速道路を2時間運転してもらいました(実際の研究では、高速道路を再現したシミュレーターです)。水分を控えた日は、体重が平均1.1%減る程度の「軽い脱水」でした。

たった1%なら大したことがないように聞こえます。ところが水分を控えた条件では、本人が感じる集中力は約40%、目の覚めている感覚も約50%も低下していました。

そして水分を控えた状態での運転は、十分水分をとった状態と比べて、車線のはみ出しやブレーキの遅れといった事故につながりかねないミスの回数が、なんと2倍以上(平均47回から101回へ)に増加したのです!

このエラーの頻度や判断力の低下度合いは、「血中アルコール濃度0.08%(日本の酒気帯び運転の基準上回るレベル)」の状態で運転した時や、極度の睡眠不足の時と“ほぼ同等”であると推定されています。つまり、渋滞でのトイレを我慢するために水分を控えての運転は、酒気帯び運転と同じくらい判断力が鈍る可能性があることになります。

なぜ、わずかな水分不足でここまで脳のパフォーマンスが落ちるのでしょうか。実は、体が脱水状態になると脳の組織自体がわずかに萎縮してしまいます。その萎縮した状態で無理に集中力を維持しようとするため、脳が過剰なエネルギーを浪費するため、脳がすぐに疲弊しミスを連発すると考えられています。

実際の交通事故の因果関係を直接調べたわけではないので、飲水制限だけで事故のリスクが上昇するとは言い切れませんが、渋滞を恐れて水を控える習慣は安全ではないかもしれません。

◆帰省を元気に終えるために

新幹線など公共交通機関で移動するなら、前夜はしっかり眠ること、車内での動画視聴は30分ぶっ通しを避け、15分ほどでいったん目を離し、遠くの景色を見るなどして感覚のズレをリセットすることが大切です。気分が悪くなってからではなく、「なる前」に休むのがコツです。

車で移動するなら、水分補給を削るのではなく、こまめにサービスエリアやパーキングエリアへ。必要なら携帯トイレを準備しておけば、「飲むのが怖い」という不安も減らせます。

長距離の移動は、ただでさえ体力を奪います。「眠る・画面から目を離す・水を飲む」の3つを忘れずに。自宅に元気で戻るまでが、帰省です!

<文/岡本宗史>

【参考資料】
Kaplan J, et al. The influence of sleep deprivation and oscillating motion on sleepiness, motion sickness, and cognitive and motor performance. Auton Neurosci. 2017;202:86-96.
Chen YL, et al. Visually Induced Motion Sickness During Smartphone Use in Moving Metro Carriages: Effects of Posture and Viewing Duration-A Randomized Crossover Study. Healthcare (Basel). 2026;14(12):1707.
Watson P, et al. Mild hypohydration increases the frequency of driver errors during a prolonged, monotonous driving task. Physiol Behav. 2015;147:313-318.

【岡本宗史】
東京大学大学院医学系研究科を修了後、埼玉県のクリニックにて実臨床に従事。「健康・エイジングケア」に関する知見を、医学的視点から紐解き、メディアやSNSを通じて多角的に発信している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」評論家 等。 Instagram:@soshi_okamoto
配信元: 日刊SPA!

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