2年間で失ったお金は「504万円」…特養入居後に押し寄せた後悔
結局、特養への入居が決まったのは、申し込みから約2年後でした。母の状態が要介護4に悪化したこと、ミナミさんが介護離職寸前であることなどが考慮され、入所の必要性が高いと判断されたのです。
入居が決まり、ミナミさんがこの2年間の負担を計算すると想像以上の金額になっていました。
時短勤務による減収は、月15万円×24ヵ月=360万円。さらに、介護サービスの自己負担、紙おむつ、配食サービス、通院タクシー、ショートステイの食費や滞在費など、母の年金では賄いきれない支出を平均して月約6万円負担していました。
月6万円×24ヵ月=144万円。合計すると、360万円+144万円=504万円となります。
特養入居後は、低所得者向けの食費・居住費の軽減制度を利用し、多床室を選んだことで母の月額負担はおおむね年金の範囲内に収まりました。
「もっと早く別の方法を考えていれば、500万円も失わずに済んだのではないか」と、ミナミさんは安堵する一方で後悔を拭えませんでした。
さらに、失ったのはお金だけではありません。
時短勤務中に管理職から外れ、慢性的な睡眠不足で体調も崩しました。減収を補うために自身の老後資金として貯めていた預金も取り崩しています。
【元介護施設職員のFPが解説】「特養が空くまで待つ」が一番安いとは限らない
特養は低所得の高齢者にとって重要な施設です。しかし、「費用が安いから」という理由だけで空きを待ち続けることにはリスクがあります。
重要なのは施設の月額費用だけでなく、家族の減収や介護費用の負担、健康への影響を含めて比較することです。たとえば、特養に入居するまでの2年間、月8万円の持ち出しが必要な施設を一時的に利用したとしても、追加負担は192万円です。
一方、ミナミさんのように月15万円の減収が2年間続けば、それだけで360万円になります。
「民間施設は高いから無理」と最初から除外するのではなく、条件に合う低価格帯の老人ホームを特養入居までの「つなぎ」として利用する方法も検討すべきです。
