在宅医療の質を決定する「褥瘡(床ずれ)の予防」――新規発生と悪化を防ぐ方策とは?【医師が解説】

在宅医療の質を決定する「褥瘡(床ずれ)の予防」――新規発生と悪化を防ぐ方策とは?【医師が解説】

病院等で発生した褥瘡を在宅へ引き継ぐ「持ち込み褥瘡」の管理

在宅医療にはもう一つ重要な課題があります。それは、病院や介護施設で発生した褥瘡を在宅へ引き継ぐケースです。在宅医療の現場では、これを「持ち込み褥瘡」と呼ぶことがあります。

患者さんが在宅療養へ移行する前に、病院や介護施設で褥瘡が発生し、治癒しないまま在宅医療へ引き継がれることは少なくありません。

このような患者さんの場合、褥瘡の悪化を防ぎ、できるだけ早い治癒へと導くことが、訪問診療医に求められる重要な役割となります。

すでにある褥瘡の悪化を予防するという点では、基本的な考え方は新規発生の予防と共通していますが、褥瘡ができた原因を突き止め、それを取り除くことが、より重要になります。

そのためにはまず、どのような状況で褥瘡が発生したのかを把握します。

ベッド上で生じたのか、車椅子で長時間座っていたために生じたのか、あるいは医療機器や装具が接触し続けたことによる医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)なのか。その発生機序を確認するとともに、患者さんの栄養状態や体重変化、循環状態など全身状態も含めて総合的にアセスメントする必要があります。

そして、それらの原因を一つひとつ根気強く取り除いていくことが、褥瘡の悪化予防の基本になります。

現在のエアマットは性能が大きく向上しており、適切に使用すれば、新たな褥瘡の発生を防ぐうえで非常に有効です。

しかし、すでに褥瘡ができている患者さんでは、それだけでは十分ではありません。

創部を治癒させるためには、創部への圧力を可能な限りゼロに近づけることが原則です。エアマットを使用していても、褥瘡部にわずかでも圧力がかかり続けていれば、創はなかなか治癒せず、場合によっては悪化してしまいます。

これが、新規発生の予防と、すでに存在する褥瘡の治療との最も大きな違いです。

そのため、すでに褥瘡ができている患者さんでは、体位変換を工夫したり、クッションや枕を用いて創部周囲を支えたりすることで、褥瘡そのものにできる限り圧力がかからない状態をつくることが重要になります。

これは悪化予防であると同時に、褥瘡治療の基本でもあります。

野末 睦
医師
医療法人 あい友会  理事長

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