日本経済を蝕んだ「ゾンビ企業」の正体――「失われた10年」が示した資源配分のゆがみとは【公認会計士が解説】

日本経済を蝕んだ「ゾンビ企業」の正体――「失われた10年」が示した資源配分のゆがみとは【公認会計士が解説】

「創造的破壊」が止まった日本経済

資本主義では、生産性の低い企業が市場から退出し、新しい企業が成長する「創造的破壊」が経済成長の原動力となります。

しかし、ゾンビ企業の増加はこの仕組みを弱めました。

研究では、この状況を「スケロシス(硬直化)」と「スクランブリング(資源配分の混乱)」という概念で説明しています。

古い企業が市場に残り続けることで経済全体の柔軟性が失われ、新たな企業の参入や成長が妨げられる――その結果、資本や労働力が生産性の高い企業へ十分に移動せず、日本経済の新陳代謝は大きく低下しました。

「失われた10年」が残した教訓

日本経済の長期停滞は、金融緩和や財政出動だけでは解決できない構造的な課題が存在することを示しました。

短期的な混乱を避けるために企業の延命を優先した結果、資本や人材の再配置が進まず、成長企業の投資や雇用拡大の機会が失われたことは、日本経済全体に大きなコストをもたらしたと考えられています。

この教訓は、日本だけに当てはまるものではありません。巨額の債務を抱える企業への支援や産業保護政策が議論される現在においても、生産性の高い企業へ資源を適切に配分する仕組みを維持できるかどうかは、持続的な経済成長を左右する重要な課題です。

「失われた10年」が問いかけているのは、短期的な安定と長期的な成長をいかに両立させるかという点にあります。経済の新陳代謝を促し、成長分野へ資源を円滑に移す仕組みを整えることこそが、持続的な繁栄への第一歩といえるでしょう。

岸田 康雄

公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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