◆今も元気でいられる秘訣は…

「今でも草むしりや花の世話をしていますし、お客さんの案内もしますし、足腰はしっかりしていると思いますよ。もともとスポーツも好きで、いろいろやってきましたし、今も家で体操を毎日しています」
食事も、特別なことはしていない。しいて言うなら、酒をきっぱりとやめたことだ。健康のバロメーターは毎年の健康診断だそうだ。
「毎年、会社の健康診断を受けています。オプションもできる限り受けて、自分の健康状態を知るようにしています。そのおかげなのか、ここ何年かは再検査に引っかかったことはありません」
◆小さな心配りが、静かに返ってくる時
昭和の時代から駆け抜ける営業マンと聞くと、数字を追うバリバリのやり手をイメージするかもしれない。だが、長谷さんは意外にも、数字を追わない。「自分が精いっぱいやって、それで結果に納得できればいいと思ってるんです。数字よりも、目の前の一人ひとりとどう向き合うかの方が大事だと思います」
お参りに来た人が、目当ての墓の場所がわからず困ることがある。そんな時は、目印代わりに花を挿しておく。
「お参りに来ても、場所がわからないとかわいそうですから、いらっしゃることが事前にわかっていれば、先にその方の墓地に花を挿しておくんです。お客さんに喜ばれたのも嬉しかったのですが、後輩たちがマネをして同じようにしてくれてるのも、嬉しかったですね」
そしてもう一つ、長谷さんを喜ばせた出来事がある。かつて競い合ったライバル酒造会社の営業マンが、契約に来てくれたことだ。長年、業界の中で分け隔てなく接してきたことが、思わぬ形で返ってきたのかもしれない。
これからの目標を尋ねると、長谷さんは静かにこう答えた。
「今からどうこうなりたいというのはないですね。それよりも大事なのは現状維持です。体を大事にして、会社やお客様に迷惑をかけない形で、ずっとお手伝いできればいいかなと思っております」

【安倍川モチ子】
東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa

