距離感がつかみにくく、危険な思いをすることが多かったり。見える目を酷使することで、眼精疲労による頭痛や肩こりが起きやすかったり。周囲の無理解から差別を受けることも、就労に困難が生じることもある。
だが、厚生労働省の基準では、片目を失明していても、見える目の矯正視力が0.6以下でないと障害者として認められない。その結果、少なくない片目失明当事者が「障害者ではない」とされ、困りごとを抱えながら生きている。
「健常者」と「障害者」のはざまの人生とは、いったいどのようなものなのか。先天的に片目が見えないライター・日向レマが、自身のこれまでをポップに綴る。

◆見えない理由は分からないまま
こんにちは、片目が見えない人です。簡単なプロフィールをいうと、東京在住の24歳。おそらく生まれてから今までの24年半、ずっと左目が見えていない。
見えない、と書いたけど、左目の視力は「運が良い日に0.01が出る」くらい。……って言うとよく右目をふさいで「この指何本見える?」ってやってくる人がいるんだけど、実はあれ勘で分かっちゃうんですよね。でも文字は全く読めないし、基本的にはコントラストが分かる程度。ちなみに右目は裸眼で1.5。だいたいの人に勝てる。
なんで見えないのか、は正直よく分かっていない。やたらとよく転ぶ第1子として両親を困惑させた2歳のぼくは、近くの眼科から「もっと大きい病院へ」と強そうな国立病院へ紹介されたらしい(当然、記憶はない)。城の如くファビュラスなその病院に、ぼくは1泊2日で検査入院したらしい(当然、この記憶もない)
医療のプロフェッショナルが徹底的に調べても「原因不明の網膜の異常」「多分生まれつき」ということしか分からず、ネットで検索しても珍しすぎて何もヒットせず。
ありったけの悲嘆・動揺・困惑を親族一同が担当してくれた結果、現在の自分にとっての「片目が見えない」は「1月生まれ」や「マヨネーズ嫌い」とあんまり変わらないところにある。なんならたまに見えていないことを忘れる。
◆眼精疲労に頭痛、人とぶつかりやすい

そんな感じで暢気に過ごしているので、「困っていることはある?」と聞かれると、ぼくは一瞬フリーズしてしまう。
もちろん、あると言えばある。“両目勢”より目が疲れやすくて、PCをガン見する仕事では激しく頭を痛めていることとか。
東京生活7年目なのに人混みを上手く歩けなくて、視野の端から現れる人々を避けられずに「ぶつかり若人」と化してしまうこととか(ほんとうにすみません)。
その昔クラスメートに「ゲゲゲの鬼太郎~」とからかわれたこと……は、正直もうどうでもいいな(これを読んで同情した人がいたら、ぜひ目玉おやじを探すのを手伝ってほしい)。

