子のケータイ利用、参加発信型に注意

子のケータイ利用、参加発信型に注意

第1回 子どもにケータイ、いつから持たせる?
乳幼児や児童が巻き込まれる犯罪が増えている昨今。防犯の意味で、幼いうちから子どもにケータイを持たせる親は増えてきている。

とはいっても、小さな子どもにケータイを持たせるのは課金サイトや有害サイトなどのトラブルに巻き込まれる恐れもあるし不安…と考える親も多いはず。子どもにケータイを持たせることのメリットとリスクって、どんなこと? 「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」の高橋大洋さんに聞いた。

「子どもにケータイを持たせるメリットは、何かあったときにすぐに連絡ができることです。また、最近は『ケータイ=インターネット』とすぐにイメージできるように、調べ物や娯楽などが簡単・安価に利用できる便利さや楽しさがあります。これがメリットにもなる反面、大きなリスクを含んでいるのです(高橋さん 以下同)

たしかに、親からすれば友達とのメールのやりとりや長時間のゲームはどうしても心配になってしまうところ…。

「メールやゲーム、動画の長時間利用、アダルトサイトなどの『子どもに相応しくないサイト』の閲覧などについては注意が必要です。また、利用が長時間化することで、生活習慣の乱れの原因にもなります。ただ、それ以上に最近注意が必要なことは『参加発信型利用』にともなうリスクなんです」

子のケータイ利用、参加発信型に注意

「参加発信型」とは、TwitterやLINEなど、自分自身で参加・発信できるサービスのこと。現在、大人と同様に、多くの子どもたちが利用しているという。

今や子どもたちにとって、インターネットを利用するのは「当たり前」の時代。しかも、閲覧だけでなく、「自分も参加するもの」になっている。

「ケータイやスマホの普及で『自分専用の機器』を持ち運べるようになり、写真や動画の撮影、発信・共有も簡単にできるようになっています」

そして、そのようなサービスを利用した自身の発信がきっかけになって、性犯罪被害に遭ったり、悪い評判がインターネット上に残ったりと、その子の人生に大きな悪影響が残ってしまう例が少なくないと高橋さんは警鐘を鳴らす。

「『ケータイを持たせる=インターネットを自由に利用できるようになること』です。日常的なモラルはもちろん、『いったん送ったものは完全には取り消せない』など、インターネットの特性が理解できるようになるまでは、ケータイを持たせるべきではないでしょう」

ケータイやスマホから生じるトラブルは、「怪しい・危ないサイト」にあるのではなく、ごく普通のサイトや普通の交流の延長線上にあるということを、まずは大人が知っておく必要があるのかも。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

高橋大洋
高橋大洋
子どもたちのインターネット利用について考える研究会 事務局
ネットセキュリティ関連事業者を経て、2011年からピットクルー株式会社勤務。「子どもネット研」事務局の立場などで、保護者、教職員、児童生徒向け講演を全国で実施。
ネットセキュリティ関連事業者を経て、2011年からピットクルー株式会社勤務。「子どもネット研」事務局の立場などで、保護者、教職員、児童生徒向け講演を全国で実施。