望まぬお受験で子は低ストレス耐性に

望まぬお受験で子は低ストレス耐性に

第1回 お受験する?しない?
早期教育の情報を目にする機会が多い昨今。小学校受験を考える家庭は少なくないのでは? 住んでいるエリアによっては、近所の友だちが小学校受験をする子ばかり…なんてケースもあるけど、そもそも自分の子どもに受験は必要なのだろうか。

小学校受験の現状に詳しい「e-ojyuken.com」のオーナー木下健藏さんに、小学校受験の現状について聞いてみた。まずは、受験者数って増えているの?

「現在の受験者数は受験バブルピーク時の7~8割前後になっていると思います。受験校数も5~6校だった7、8年前に比べて、今は平均3校程度。人気校はあいかわらず応募が集まっており、全体を鑑みれば少数激戦となっています」(木下さん 以下同)

的を絞って受験する人が多いようだけど、なかでも人気の学校はあるの?

「中学校受験を見越したり、高校で大学への進学率が上がる学校を目指したりするなど、先を見据えた小学校受験をするご家庭が増えています。特に、将来就職活動で有利とされるGMARCH(ジーマーチ:学習院・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)以上の大学進学実績の良い進学校が人気のようです」

もちろん、早稲田実業初等部や慶應義塾幼稚舎のように、一流大学の系列校の人気は依然として高い。

望まぬお受験で子は低ストレス耐性に

「また、女の子の場合、時代の流れで、女子一貫校より共学校のほうが人気です。全体的に一貫校を目指すより、有名学校に受験するための小学校受験が上昇傾向にあります」

ただし、木下さんによれば、子どもに悪影響が出るような一方的な受験は避けたほうがいいという。というのも、必要以上の知識の詰め込みは、後々、その子の人格形成に悪影響を及ぼすこともあるからだそう。

「幼児教育(早期教育)で知識だけを詰め込みすぎると、ストレス耐性が育たないまま成長する可能性もあります。世の中のグローバル化などに伴い、コミュニケーション能力やストレス耐性が求められています。これを培うには、自立(自律)した大人を目指す教育が必要。単純に小学校受験をすれば安心ではなく、子どもが自分で考え、行動できるように親がサポートすることがまずは大切です。私立・国立小学校に合格することが到達(目的)ではなく、始まりなのです。合格によって燃え尽きてしまう家庭もあるようですね」

親にとって、周囲に惑わされないような判断力と選択を必要とされてくる。「なぜ私学なのか?」と、その目的を明確にし、子どもに合った教育を考えていこう。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

木下健藏
木下健藏
こだまの寺子屋、e-お受験.com、e-子育て.com
群馬県高崎市下豊岡町にある『こだまの寺子屋』の主宰&講師であり、情報サイトe-お受験.com、 e-子育て.comの主宰者。幼稚園受験や小学校受験のノウハウを活かしたアドバイザーとしても活躍。
群馬県高崎市下豊岡町にある『こだまの寺子屋』の主宰&講師であり、情報サイトe-お受験.com、 e-子育て.comの主宰者。幼稚園受験や小学校受験のノウハウを活かしたアドバイザーとしても活躍。