戌の日とは
赤ちゃんを授かるまでは、ママもパパも戌の日を意識することはほとんどなかったのではないでしょうか?しかし、戌の日は赤ちゃんの親になるうえで、特別な意味を持つ日です。戌の日の意味や由来について解説します。
腹帯を巻いて安産をお祈りする日
戌(犬)はお産が軽く、一度にたくさんの子どもを産みます。安産を象徴する縁起のよい動物として、昔から妊婦さんやその家族に親しまれてきました。
日本では、昔から妊娠安定期に入った最初の「戌の日」に「腹帯(はらおび・ふくたい)」を巻いて安産を祈る風習があります。戌の日に神社仏閣でお祓いや祈祷をしてもらう「戌の日参り」は、現在でも広く行われている行事です。
戌の日は、暦のうえでは12日に1度めぐってきます。月に2~3回しかなく、ママの体調も考慮する必要があるため、お参りに行く場合は日程の調整が難しいかもしれません。
「最初の戌の日」は、あくまでも安産を祈願する時期の目安です。決して無理をせず、体調のよい日を選んでお参りに行くようにしましょう。
近年は、仕事のない日に行けるように「土・日」に重なった戌の日や「大安」などの縁起のよい戌の日にお参りに行く人も珍しくありません。
腹帯の巻き方は?
戌の日の安産祈願は「帯祝い」とも呼ばれており、「腹帯を巻く」儀式がセットになっています。このため、戌の日参りでは、腹帯も一緒にお祓い・祈祷をしてもらうのが一般的です。
腹帯はあらかじめ巻いて行く場合もあれば、新品を持参または指定のものを購入する場合もあります。現在は簡単に装着できる腹帯もありますが、昔ながらの「さらし」限定のところも多いため、事前に確認しましょう。
さらしタイプの腹帯の巻き方は、以下の通りです。巻いて行くならお参りの当日に慌てないように、事前に練習しておくとよいでしょう。
1.帯を縦に半分に折り、アイロンをかける
2.ラップの芯などに巻き付けて、形をなじませる
3.折り目を下にして帯の端を下腹部に当て、お腹を支えるように1周させる
4.帯を上向きに折り返し、最初の帯の上端に重なるように巻いていく
5.お腹の上まで巻いたら端を折り込む
きつく巻く必要はないため、お参り中に苦しくならないように余裕をもたせて巻きましょう。
どのような服装がふさわしいの?
戌の日のお参りは、どのような服装で行くべきなのでしょうか?妊娠中の外出ですから窮屈な服装は避けたい反面、カジュアルな服装で行くのも心配です。お参りにふさわしいママの服装を見ていきましょう。
お腹を締めつけない楽な服装
神社仏閣での祈祷は改まった雰囲気がありますが、フォーマルな服装が義務付けられているわけではありません。特に、妊婦さんの場合はフォーマルを意識して窮屈な服装で行くと、途中で気分が悪くなる可能性もあるので注意が必要です。
祈祷中に長時間座っていても苦しくならない、楽な服装を選びましょう。落ち着いた色柄の「マタニティワンピース」や「ストレッチパンツ」なら、お腹を締めつけず見た目も素敵です。
参道の石畳や砂利に足を取られて転倒しないように、ヒールのない、歩きやすいパンプスを合わせます。また電車内や祈祷所の冷房対策として、カーディガンやストールを持って行くと安心です。
ラフすぎる格好はNG
戌の日参りは安産を願う日であると同時に、家族の記念に残る日でもあります。また、神社仏閣は神聖な場所ですから、あまりにもラフな服装で行くのは失礼です。祈祷の厳粛な雰囲気を台無しにして、他の参拝者にも迷惑をかけてしまう可能性もあります。
いくらお腹が楽でも、「スウェット」や「ジャージ」「露出の多い服」「素足にサンダル」といったラフすぎる格好は避けましょう。過度なアクセサリーやメイク、キラキラした小物などもお参りにはふさわしくありません。
季節別のコーデポイント
戌の日参りに適した服装は、お参りに行く季節によっても変わります。季節別のコーデのポイントを見ていきましょう。
春は羽織もので体温を調節
春は、日中は暖かくても朝晩はまだまだ冷え込むことがあり、油断できない季節です。急な温度変化に対応できるように、暖かい日でも「羽織もの」を持参しましょう。
長袖や七分袖のワンピースに、「カーディガン」や「ジャケット」、「ストール」を合わせるのがおすすめです。ストールはひざ掛けとしても使えるため、カーディガンやジャケットとは別に、1枚持っているとよいでしょう。
夏は露出が多くならないように
暑い夏はノースリーブや短めのスカートなどで、肌を露出しがちです。ただし露出の多い服装は冷えやすく、お参りにもふさわしくありません。戌の日のご祈祷などの際には、できるだけ控えましょう。
通気性のよい素材のブラウスやワンピースに、「薄手のカーディガン」や「ボレロ」などを組み合わせると上品です。さらに「ストール」を1枚持って行くと、冷房対策にもなります。
ボトムスは短すぎると座ったときに脚が見えてしまうため、膝下からくるぶしくらいまでの丈を選びます。祈祷所では靴を脱ぐことが多いため、暑くても素足は避けて「薄手のストッキング」を履いていきましょう。
秋は体を冷やさないよう注意
秋も春と同様、気温の変化が激しい季節です。特に11月は七五三の参拝者が多く、祈祷書が混雑して待たされることもあるため、体を冷やさないように十分注意しましょう。
多少荷物になりますが、「暖かな素材のショール」や「ニットカーディガン」、「カイロ」などがあると安心です。ブーツを履いて行く場合は、脱ぎ履きのしやすいタイプを選びましょう。
冬は防寒対策をしっかりと
冬は念入りに防寒をして出かけましょう。風通しのよいワンピースよりも、「暖かい素材のマタニティパンツ」がおすすめです。トップスはお尻が隠れる長めの丈を選び、ロングコートを合わせるとよいでしょう。
冷え予防には、「保温性の高い肌着」や「レッグウォーマー」、「カイロ」などが便利です。マフラーや手袋、帽子も有効ですが、祈祷所では脱ぐようにしましょう。
夫や付き添う人の服装は?
戌の日参りに付き添う人にも、ほどよく品のある服装が求められます。夫や上の子、両親の服装を見ていきましょう。
夫の服装
戌の日参りは夫にとって、赤ちゃんのパパになることを実感できるよい機会です。「スーツ」や「ブレザー」などのややフォーマルな服装で臨むと、気持ちが引き締まるかもしれません。
ママとのバランスも考えつつ、清潔感のある服装を心がけましょう。スーツでは大げさすぎると感じたら、衿付きのシャツとチノパンツに「ジャケット」を羽織るスタイルがおすすめです。もちろん、Tシャツやスウェット・短パン・素足にサンダルなどのカジュアルすぎる格好はNGです。
子どもの服装
子どもの場合はジーンズやTシャツ、短パンでも問題ありません。派手な柄やキャラクターものを避け、「落ち着いた色合い」でまとめるとよいでしょう。
男の子はポロシャツにチノパン、女の子はふんわりとしたワンピースやジャンパースカートなどがおすすめです。
子どもの服装で注意したいポイントは、「体温調節」です。子どもは汗をかきやすいため、トップスは薄手のものをベースにして「重ね着」で調整しましょう。
祖父母の服装
両親や義両親が参加するときも、基本的にはママやパパの服装と同じ考え方でOKです。女性同士・男性同士で雰囲気を合わせていくと、より自然な雰囲気になります。
祖父母が高齢の場合は、参道を歩いたり祈祷所で靴を脱いだりするのが大変かもしれません。神社やお寺の様子を事前に調べておきましょう。
まとめ
安定期を過ぎると赤ちゃんはますます成長し、ママのお腹の中で存在感を増していきます。戌の日参りは家族そろって赤ちゃんを迎える準備をスタートさせる、重要なイベントといえるでしょう。
腹帯の巻き方や服装のマナーをしっかりと押さえて、よい1日を過ごしましょう。