ゲーム機をめぐる親と子の本音とは?

ゲーム機をめぐる親と子の本音とは?

第1回 わが子にゲーム機を与える?与えない?
子どもたちがハマっていく一方、親にとっては悩みの種となるゲーム機はどんどん進化。悩みの原因となることがわかっていて与えない親、わかっていながらも与えてしまって付きあい方に頭を抱える親、様々です。今後、ゲーム機とはどう付きあっていったらいいのでしょうか?

 そこで、あらためて親と子のゲーム機をめぐる本音をアンケート調査(小学1~6年生のお子さんを持つママ50人とそのお子さんに聞き込み調査を実施 実施時期:2月10日~2月28日)。その結果、ゲーム機を与えていないママは、なんと! たったの4人という驚きの結果が!!

与えていない理由については、

「勉強や外で遊ぶ時間がなくなってしまうから」
「子どものころはゲームよりやるべき大切なことがたくさんあるから」
「目や脳、精神面に影響がありそうだから」 

などといった、やはりゲーム機に対する懐疑的な意見でした。
一方、ゲーム機を与えているママに“ゲーム機を与えた理由は?という質問をしてみると、

「お友だちが持っているから、自分もほしいと言われて」
「ゲームを持っていないと仲間はずれにされると言われて仕方なく…」

など、与えながらも前向きな意見はほとんどなかったのが印象的。さらに、“ゲーム機を与えてみての感想は?”という質問には、

「暇さえあればゲームをしていて、やめなさいと言ってもやめなくて困る」
「友だちと外遊びをしないで家のなかでゲームばかりする」

など、いろいろと悩みが尽きないママが圧倒的に多い結果でした。そんななかで、こんなママのプラスな意見も一部ありました。

「ゲームを通じて友だちがたくさんできて楽しそう」
「普段、本を読みなさい!と言ってもまったく読まない息子が、ゲームの攻略本を必死に読んでゲームを進めていて感心した」

ゲーム機をめぐる親と子の本音とは?

では、主役の子どもたちの本音はどうでしょうか? “ゲームのどんなところが楽しいの?”という質問をしてみると、

「アイテムをゲットしたり、場面をクリアするのが楽しい」
「友だちとゲームの話しをしたり、キャラ交換できるのが楽しい」
「ゲームで新しい友だちができる」
「ゲームができるとみんなにすごい!って言ってもらえてうれしい」

など、子どもなりに様々な観点で楽しさや嬉しさを感じていることがわかりました。

これらの結果をふまえて、子どもメディア論を専門とする相模女子大学・准教授の七海 陽先生にご意見をいただきました。

「お母さん方のほとんどが懐疑的な意見をお持ちの一方で、子どもたちが心底ゲームを楽しんでいることがわかりますね。実は、こここそが重要なポイントなんです。お母さん方は、お子さんのこの気持ちに無関心だったり、一方的に批判してしまいがちなんですね。子どもたちはゲームから何も得ていないようで、いろいろな喜びや達成感などプラスのことを得ているのも事実です。ゲーム機を与える場合は、むしろそこにまず共感し、一緒に喜んだり、楽しんだり、ほめたりしてあげることも大切なんです。それをしたうえで、“でもね…”と、ルールやデメリットをお母さんに切りだされたら、子どもの受け取り方も変わっていくのではないでしょうか」

まずは、頭ごなしにゲームを否定するのではなく、子どもが楽しんでいる事実を認めて共感する。そこから、正しい付き合い方を親子で一緒に模索することが、ゲームとの付き合い方の第一歩なのかもしれません。
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

七海 陽先生
七海 陽先生
相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科准教授
コンピューターメーカー勤務を経て、フリーランスへ。デ ジタルメディアと子どもの育ち・発達を領域とし、調査 研究・執筆・講演活動を行い、現在は相模女子大 学にて教鞭をとる。専門は児童文化学、子どもメデ ィア論、メディアリテラシー教育など。著書に『佐藤家の デジタル生活 子どもたちはどうなるの?』がある。
コンピューターメーカー勤務を経て、フリーランスへ。デ ジタルメディアと子どもの育ち・発達を領域とし、調査 研究・執筆・講演活動を行い、現在は相模女子大 学にて教鞭をとる。専門は児童文化学、子どもメデ ィア論、メディアリテラシー教育など。著書に『佐藤家の デジタル生活 子どもたちはどうなるの?』がある。