「現在、日本のステップファミリーの形態には『代替家族モデル』と『継続家族モデル』の2つの傾向があります。日本でその多くは、『代替家族モデル』です」(緒倉さん 以下同)
「代替家族モデル」とは、離別した実親と入れ替わり、継親が継子と実の親子のような関係をめざす家族のあり方だ。「実の母(父)親を失った継子の母(父)親となるべきだ」という概念のもと、家族形成がなされる。
●初婚の家族を理想にすると、挫折や失望が大きくなることも
「このモデルでは、継親が子との関わり方に性急になるあまり、子どもが拒絶反応や否定を強めることが多々あります。継親が親としてふるまおうとすればするほど、子が離死別した実親を思う気持ちも強まり、反比例するかのように継親のモチベーションも落ちてしまうケースがみられます」
「実の親じゃないくせに」など、子どもからの言葉にショックを受け、継親が継子への愛情を失ってしまうパターンもある。このような問題は、ステップファミリーに「初婚のような家族関係」を期待することが原因と考えられる。
「継子が継親を迎え入れたとしても、いざ一緒に暮らし始めると、戸惑いや違和感を覚えるのは当然のことです。親同士の事情で離別をしても、子どもにとって実親は大切な存在です。初婚の家族を理想にして、挫折や失望をしてしまう『代替家族モデル』には限界があるでしょう」
●初婚家庭との違いを認識しよう
「継続家族モデル」は、前のパートナーが離婚後も継続して子どもとつながりをもち、継親は第三の親(あるいは家族の一員)として関わりをもつ家族形態だ。離別した実親との関係性を重要視するため、子どもの思いや権利を尊重できる。一方で、単体の家族と比べて関わる人数が多く、前パートナーと現パートナーの心境の複雑さや役割の曖昧さなどをはらんでいる。
「いずれの家族モデルであっても、初婚家庭との違いをふまえた配慮が重要です。当事者の取り組みも必要ですが、家族をとりまく地域社会や学校、職場、行政機関でも、従来の家族観を取り払うことが今後の課題です」
初婚家庭とステップファミリーは異なる性質の家庭であることを理解することが、良好なステップファミリーを形成していく第一歩となるようだ。
(北東由宇+ノオト)