「よいステップファミリーを築くためには“家族”の概念を変えることが大切です。血縁のある家族のようになるよりも“良いチームを作っていこう”と意識しましょう。スポーツのチームなどで仲間との間に連帯感が生まれるように、ステップファミリーにおいても、共通経験や信頼の蓄積によって心地よい関係性が築けます」(緒倉さん 以下同)
また、グループでの交わりよりも、一対一の関係の方が親密度は増すといわれている。継親と継子、実親と継子など、一対一で遊んだりゲームを楽しんだりするなど、共通体験を通して信頼を築いていこう。
●継親は実親の存在をどう受け止めるべき?
継子と接する上で、気になるのが離別した実親の存在をどう扱うかだ。
「ステップファミリーの継親は、ニックネームで呼ばれることが多いです。呼び名は“お父さん・お母さん”以外の選択肢も準備しましょう。無理に呼ばせると、子どもの離別した実親に対する葛藤や喪失感を強めてしまう場合があります」
また、前の配偶者の存在が家庭内でのタブーにならないよう配慮したい。別れた配偶者や、パートナーの前の配偶者の話をするのは心穏やかでない場合もあるだろうが、子どもにとって実親の存在は一生変わらない。話を聞くのがつらい時は「ごめんね、別の機会でもいい?」とソフトに伝えよう。
●ステップファミリーがはらむ視点の相違
「夫婦間で気をつけたい点として、教育に対する視点の相違があります。継親の立場は、実親に比べて子どもの未熟さや、実親子関係の問題点などに気づきやすく、実親に改善を進める傾向があります。その視線の厳しさに、実親は“継子だからかわいくないんだろう”とパートナーに対して失望や批判的な気持ちを抱きがちです」
これはステップファミリーの構造そのものが、視点の違いを生み出すことから生じる。実親は継親の指摘を親密な第三者からの助言としてとらえ、また継親は意見することが正しいと思えても、パートナーへの非難とならないように配慮をもって伝えたい。
実の親子のような家族をめざすよりも、人と人との誠実なつながりを育めれば、素晴らしいステップファミリーを築くことができるだろう。
(北東由宇+ノオト)