体臭に関する治療を行う五味クリニック院長・医学博士の五味常明(ごみ・つねあき)先生に聞いた。
「汗は臭いものだと思われがちですが、体温調整などのためにエクリン腺から出る汗の成分は99%以上が水分です。そのため、サラサラしていてほとんど臭いません。これが『良い汗』といわれます。とはいえ、1時間ほどで皮膚の細菌や垢が反応して臭うようになります。汗が出たらそのままにしないで、固くしぼったぬれタオルで拭くことが大切です」(五味先生 以下同)
『良い汗』がある一方で『悪い汗』もあるという。どのような理由で汗の質は変わるのだろう?
「運動不足やストレスなどの影響でエクリン腺がうまく機能しなくなると、ベトベトした蒸発しにくい汗をかくことがあります。これが『悪い汗』です。蒸発しにくいうえ、皮膚の表面がアルカリ化するので常在菌が繁殖しやすくなり、汗のニオイが強くなるのです」
市販のデオドラント剤(制汗剤)にはさまざまなものがあるが、制汗作用のあるミョウバンを使ったミョウバン水溶液も制汗や防臭に役立つそう。汗対策に効果的なミョウバン水溶液のつくり方は次の通りだ。
●ミョウバン水溶液の作り方
1. 1.5リットルの水に50gのミョウバンを溶かす。
2. スプレー容器にいれて、ニオイが気になる部分にスプレーする。
※よく混ぜてもとけないときは、そのまま1日放置しておくと透明に液になる。
※冷蔵庫で1カ月近くはもつが、1~2週間で使い切りるのが理想。
「ミョウバン水溶液を市販のスプレー容器に入れて、脇や胸、背中や足などニオイが気になる部分にスプレーします。また、コップ1杯のミョウバン水溶液を湯船に入れて入浴すると、全身のニオイ消しにもなりますよ」
●ダイエットで体のニオイが増す!?
また、覚えておきたいのが無理なダイエットでも汗臭さが増すこと。いわゆる「ダイエット臭」について、五味先生は次のように解説する。
「1日に摂るカロリーを極端に減らすと、体内のエネルギー源が不足するため、体は体内に貯蔵している中性脂肪を燃焼させてエネルギーを確保しようとします。このとき中性脂肪が脂肪酸に変化して汗を一緒に排出されるので、汗臭さがより強くなった脂肪臭がするようになります。これが第1段階のダイエット臭です」
無理なダイエットを続けると、汗にアンモニア臭が混じった第2段階のダイエット臭が発生するという。
「さらに、甘ずっぱい臭いの『ケント臭(飢餓臭)』が口臭や体臭からするようになったら、危険信号です。ダイエット臭は、基礎代謝がきちんと行われる正しいダイエット方法に切り替えることで解消されますよ」
汗や体臭は食事や体調とも深い関わりがある。汗が強く臭うときは制汗剤を使用するだけでなく、その理由を考えてみよう。
(川野ヒロミ+ノオト)