介護休暇に給与は出るの?取得条件や介護休業との違いを弁護士が解説

介護休暇に給与は出るの?取得条件や介護休業との違いを弁護士が解説

3、実際に介護休暇を取得するには何をすればよいのか

条件を満たしていることを確認したら、会社のルールにしたがって申請しましょう。

法律上は口頭での申請も可能ですが、書面の提出について社内ルールがあれば、そちらで申請しましょう。

家族の介護の必要性が予想されたら、事前に申請方法などを上長に確認しておくとスムーズに進むかもしれません。

また、以下に紹介するように、制度改正により介護休暇が使いやすいものになっています。

積極的に活用を検討してみてください。

4、介護休暇を利用しやすい環境が整えられ始めた〜1時間単位での取得

近年法改正があり、介護休暇の利用が促進されています。

新しい制度の内容を解説します。

  • 1時間単位で介護休暇を取得できるようになった
  • 中抜けについて
  • 労働者によって介護休暇の取得時間が異なるのか?

(1)【令和3年1月から】1時間単位で介護休暇を取得できるようになった

令和3年(2021年)1月から、1時間単位で介護休暇を取得できるように制度が改められました。

従来は1日または半日単位でしか休暇が認められていませんでした。

「2時間だけ利用したい」というケースでも半日休暇を取得するしかなく、その分だけ休める回数が少なくなっていたのです。

現在の制度では1時間単位で取得できるようになったため、短時間の休暇を頻繁にとることもできます。

また、以前は1日の所定労働時間が4時間以内の労働者は取得できないとされていましたが、その制限はなくなりました。

介護休暇を取得しやすい方向に制度改正がなされたといえます。

(2)中抜けは可能なのか

法律上、中抜けして介護休暇をとる権利までは認められていません。

「昼間の2時間だけ中抜けし、用事をすませて戻る」ことは要求できないとされます。

ただし、会社が中抜けを認めるとのルールを設けていれば問題ありませんので、この点も確認してみてください。

(3)労働者によって介護休暇の取得時間が異なる?

1時間単位で取得する際には、労働者によって取得できる介護休暇の総時間数が異なります。

①所定労働時間によって総時間数が変わる

1時間単位で取得するときの時間数の上限は、所定労働時間数の5日分(対象家族が複数いれば10日分)までです。

たとえば、所定労働時間が5時間の労働者が1時間単位で取得するときは、合計で5時間×5日=25時間までとなります。

②所定労働時間に端数(30分など)がある場合

所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合には端数を切り上げて計算します。

たとえば、所定労働時間が

  • 7時間15分
  • 7時間30分
  • 7時間45分

の場合はいずれも1日8時間としてカウントします。

したがって1時間単位でとる場合には8時間×5日=計40時間の取得が可能です。

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