子どもを責めるしつけが危険を招く!?
しつけの仕方が子どもの安全に左右します。実は、責めないしつけがこどもの安全につながります。
「保育とは未発達で幼い子どもを援助し、危険から守ってあげることです。子どもがちゃんとしていたら、保育士なんていらないですよね(笑)。これって当たり前のことなんですが、『何回言ったらわかるの』『先生、前にも同じこと言ったよ』などと責める場面はよくあります。これは子育ての場面でもよくあることですよね。『お母さん言ったよね?』『なんで同じことするの?』と責めていませんか。これは『前に注意したから私は悪くない』という責任の回避にも見える。1回で『うん、分かった!』と言うことを聞く子ばっかりだったら、親も保育士もいらないんですよ(笑)。子どもは未発達で幼いがゆえ、十分に出来ないことが前提にあります。責める子育てが子どもの安全にはなかなかつながっていかないと考えています」(小崎先生)
危険が予測されたとき、「ダメ」と責めて叱るのではなく、「ここは止まろうね」「左右しっかり見て」など、具体的に伝えていくほうが子どもには届くようです。
パパの出番だ! 守り過ぎない安全教育
積極的安全の中で子どもを大事にし過ぎていると、経験が積めません。
「新学期の1〜2年生の事故はすごく多いんです。経験が足りないからです。これまで親が積極的に守っていたのに、1年生になった途端、『はい、いってらっしゃい』と送り出すのはちょっと乱暴ですよね。いつまでも親が守り続けていてはいけないんです」
安全教育は、パパの出番も多そうです。
「パパが通園路や通学路を子どもと歩いて危険な場所を教えてあげる、のこぎりのじょうずな使い方を教えてあげる、などパパが消極的安全の視点で関われたら理想です」と小崎先生は提案します。
場合によっては子どもの命に関わる安全問題。パパとママが分担して積極的安全と消極的安全を取り入れていけるといいですね。
取材・文/大楽眞衣子
監修者:保育士 大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学)教授 小崎恭弘
兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信をおこなう。「男の子の本当に響く叱り方・ほめ方」(すばる舎)、「育児父さんの成長日誌」(朝日新聞社)、「パパルール」(合同出版)など、著書多数。
著者:ライター 大楽眞衣子
社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
配信: ベビーカレンダー(ライフ)
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