7、その他離婚時に決めるべき条件は?
モラハラを理由として離婚するときには、慰謝料以外にもさまざまな条件を取り決めなければなりません。
以下の4つは忘れないように取り決めるか、裁判で請求しましょう。
(1)財産分与
まず、夫婦の共有財産を分与してもらうことができます。
財産分与の対象になるのは、名義のいかんを問わず夫婦の共有財産と評価できる預貯金や生命保険、不動産や車、投資信託や株券、積立金などのすべての資産です。
ただし、相続で得た財産や婚姻前から持っていた財産などの特有財産は対象になりません。
財産分与を計算するときには、上記のような資産を原則2分の1ずつとして分け合います。
財産分与について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)婚姻費用
前述したように、離婚前に別居をするときには、相手に婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用とは、いわゆる生活費のことです。
適正な婚姻費用の金額は、夫婦のお互いの収入によって決まります。
家庭裁判所の定める婚姻費用の算定表によって、計算しましょう。
婚姻費用の算定表はこちら
婚姻費用について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(3)子どもの親権
相手方がモラハラをしていたからといっても、必ずしもご自身が子どもの親権者になれるとは限りません。
親権者になる方法としては、女性と男性の場合で少し異なる対応が必要です。
①女性のケース
女性の場合、比較的親権を取得しやすいです。
ただ、そのためには、別居時に子どもと離れず、必ず一緒に家を出ることが重要です。
子どもを置いていくと、モラハラ夫にとられる可能性が高まります。
別居後、子どもとなるべく一緒に過ごす時間を作り、子どもが新しい環境になじむことができたら、たいていは女性に親権が認められます。
②男性のケース
男性の場合、モラハラ被害を受けていたとしても、比較的親権をとりにくいです。
特に、働いていて、自分で子どもを見ることができない場合、親権が認められにくい傾向があります。
もし、妻と別居をするなら、絶対に子どもと離れないようにしましょう。
また、仕事を減らしたり時短にしたり、休日は絶対に休むようにして、子どもと一緒に過ごせる時間を増やしましょう。
自分の母親にお願いして同居してもらい、子どもを見てもらうのも良いです。
男性がどうしても親権をとりたいなら、離婚話を持ちかける前に、当初から弁護士とよく相談しながら進めましょう。
(4)養育費
離婚後に未成年の子どもを引き取るときには、相手に対して養育費の請求をすることができます。
養育費の金額も、婚姻費用と同様に、夫婦それぞれの収入によって決定されます。
家庭裁判所の定める養育費の算定表に従って計算すると良いでしょう。
養育費の算定表はこちら
養育費の計算方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
モラハラでの離婚に関するQ&A
Q1.モラハラ夫(妻)とは離婚すべき?
以下のような理由からモラハラを受けている場合は離婚を選択肢の1つとして考える必要があります。
- モラハラは命を落としてしまう原因にもなる
- モラハラが治る可能性は低い
- モラハラ行為をする相手は配偶者だけのことが多く、離婚をすることで相手のモラハラが解消されるケースがある
Q2.モラハラ夫(妻)と離婚するために準備すべきことは?
モラハラ夫(妻)と確実に離婚するためには、以下の3つの準備を欠かすことはできません。
- 証拠を集める
- 別居する
- 第三者に相談する
Q3.モラハラ夫(妻)との離婚で慰謝料をもらうことはできる?
慰謝料が認められるためには、ある程度は強度の不法行為が行われたことが必要です。
モラハラの場合は、それなりに酷い行為をある程度の期間、継続して受けた場合でなければなりません。
通常の夫婦喧嘩に毛が生えた程度のモラハラや、多少言い方がきつい、感情の起伏が激しい、などという程度では、慰謝料は発生しません。
一度説教を始めると延々3時間4時間、深夜でもおかまいましで、束縛も異常、わめきだしたら止まらない、そのようなことが週に何度もある、というようなケースで慰謝料が発生すると考えましょう。
まとめ
モラハラ夫(妻)との離婚をいったんは考えても、気持ちが揺れ動いて、どうすればいいのか分からなくなっている方も多いかと思います。
そんな方は、この記事をご参考に、何がお互いにとって最善の選択なのかを理性的に考えるようになさってみてください。
そして、離婚を決意したなら、しっかりと準備を整えて万全の対処をする必要があります。
困ったときや迷ったときには、離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。
監修者:萩原 達也弁護士
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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