養育費の調停の流れは?有利に進めるポイントを弁護士がわかりやすく解説

養育費の調停の流れは?有利に進めるポイントを弁護士がわかりやすく解説

養育費調停とは、養育費について取り決める調停のことです。
調停委員立ち合いのもと、家庭裁判所で養育費について話し合います。
今回は、養育費調停の流れやかかる費用、有利に進めるポイントなどについて、弁護士が詳しく解説します。

養育費調停とは

養育費調停とは、調停委員の立ち会いのもと、家庭裁判所で行う養育費についての話し合いのことです。

養育費とは

養育費とは、子の教育や監護に必要となる費用です。
離婚をした場合、親権を持たなかった側の親が親権を持った側の親へ支払うことが一般的です。

養育費の調停が行われるのはどんなとき?

養育費はまず、離婚する当人同士の話し合いで決めることが一般的です。
しかし、話し合いがスムーズにまとまらない場合も少なくありません。

当人同士で養育費についての協議がまとまらない場合や、相手が話し合いに応じてくれない場合などには、養育費調停で養育費について決めることとなります。

養育費請求調停を行うメリット・デメリットとは

養育費請求調停を行うメリットとしては、家庭裁判所の調停委員が話し合いに立ち会ってくれることで、冷静に話し合いをしやすい点が挙げられます。
また、調停委員が仲裁をしてくれるため、養育費をある程度妥当な金額で決着をつけやすいこともメリットの一つです。

一方、養育費請求をするデメリットは、決着がつくまでに時間がかかる点です。
一般的なケースでも半年程度、長ければ1年以上はかかると考えておいた方が良いでしょう。
また、調停は平日の日中に行われるため、平日の日中に勤務をしている人は、その都度有給休暇を取るなど時間を調整しなければなりません。

養育費調停の種類

養育費調停には、次の3種類が存在します。

・養育費請求調停
・養育費増額請求調停
・養育費減額請求調停

それぞれの内容は、次のとおりです。

養育費請求調停

養育費請求調停とは、これまで取り決めていなかった養育費を、新たに請求するための請求です。

養育費増額請求調停

養育費増額請求調停とは、事情の変化などですでに取り決めた養育費に不足が生じた場合などに、養育費の増額を求める調停です。
養育費を受け取っている側から請求します。

養育費減額請求調停

養育費減額請求調停とは、事情の変化などですでに取り決めた養育費が過大となった場合などに、養育費の減額を求める調停です。

養育費を支払っている側から請求します。

離婚調停との違い

養育費は、養育費請求調停ではなく、離婚調停の中で取り決めることも少なくありません。
離婚調停とは、離婚する前に、離婚するかどうかや離婚に関する諸条件について取り決めるための調停です。

一方、養育費請求調停は、離婚自体は成立した後で養育費を請求する際に行います。

養育費の調停はどのくらいの割合で行われている?

厚生労働省による「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、離婚による母子世帯の調査総数1,637件のうち、養育費の取り決めがあるとの回答は752件(約45.9%)でした。

このうち、協議離婚以外の離婚(調停離婚、審判離婚及び裁判離婚)で養育費を取り決めた件数は253件であり、これは離婚による母子世帯の調査総数のうち約15.5%、養育費の取り決めがあるとの回答のうちも約33.6%です。

なお、審判離婚や裁判離婚を行う場合には先に離婚調停を経ていることが一般的であるため、「協議離婚以外の離婚」はほとんどが調停を行っていると考えられます。

養育費請求調停で話し合われる具体例

養育費請求調停では、どのようなことが話し合われるのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。

調停で決定されること

養育費請求調停では、子1人あたりに支払う養育費の額の他、養育費の支払い方法やいつからいつまで養育費を支払うのかといった点など、養育費に関する具体的な取り決めがなされます。

養育費の決定時に考慮される事情とは

養育費の額は、一般的に親双方の経済力、子の人数及び子の年齢によって決まります。
裁判所が算定表を公表していますので、おおむねこの範囲で決定されることが多いでしょう。

養育費の支払いが不要とされることはありえるのか

養育費の支払いは本来、親としての義務です。
そのため、自分が親権を持たないことや子が自分にあまり懐いていないことなどを理由に支払いが免除されることはありません。

しかし、養育費の支払い義務者に収入がなく、自分の生活さえままならないような場合には、支払いを免れる可能性があります。
子には自分と同程度の生活を送らせる義務がある一方で、自分よりも水準の高い生活を送らせる義務まではないためです。

また、親権を持つ親が再婚しており、かつ子が再婚相手の養子に入って十分な養育を受けることができる場合には、養育費の支払いを免れる可能性があります。

過去の養育費を調停で請求することはできるのか

養育費は、原則として請求をした時点から支払い義務が発生します。
過去分の養育費をさかのぼって請求することはできません。

そのため、養育費について何らの取り決めがないまま離婚した場合には、できるだけ早く養育費の請求をするようにしましょう。

なお、そもそも過去に養育費についての取り決めがあったにも関わらず、相手が一方的に支払いを滞納している場合には、滞納された過去分の請求も可能です。
ただし、あまり長期間請求しないままでいると時効にかかってしまいますので、注意しましょう。

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