財産分与に「時効」や「期限」はある?財産分与の注意点を弁護士がわかりやすく解説

財産分与に「時効」や「期限」はある?財産分与の注意点を弁護士がわかりやすく解説

財産分与の請求に期限や時効はある?

財産分与は離婚後であっても請求することができますが、いつまでも請求ができるわけではありません。
なぜなら、財産分与には期限が定められているためです。

財産分与の期限は離婚後2年以内

財産分与の期限は、離婚が成立したときから2年以内です。
離婚から2年を過ぎてしまうと、基本的には財産分与を請求することはできません。

財産分与について取り決めをしないまま離婚をしてしまった場合には、この2年という期限に注意をして請求するようにしてください。

財産分与の期限は「時効」ではなく「除斥期間」

財産分与の2年という期限は「除斥期間」であり、「時効」ではないことに注意が必要です。
時効と除斥期間との主な違いは、次のとおりです。

援用が必要かどうか

時効は、その期間を過ぎたからといって自動的に権利が消滅するわけではなく、義務者側が援用をしてはじめて時効が成立します。
援用とは、「すでに時効期間が経過したため、もうそのお金は支払いません」などと主張をすることです。

一方、除斥期間に援用は必要なく、期間の経過により自動的に権利が消滅します。

財産分与の期限は除斥期間であることから、相手から「もう2年の期間を過ぎたので財産分与を行いません」という主張が何らなされなかったとしても、2年を過ぎた時点で権利が消滅するということです。

更新や完成猶予が可能かどうか

時効は、更新や完成猶予をすることが可能です。

更新とは、これまで経過してきた時効期間を最初に戻して、再スタートさせることです。
たとえば、相手が権利の存在を承認することなどにより、時効が更新されます。

完成猶予とは、一定期間中は時効が完成しないよう猶予をすることです。
たとえば、相手に対して催告を行うと、そこから6ヶ月の間は時効の完成が猶予されます。

一方、除斥期間には更新や完成猶予の制度はありません。
つまり、たとえば2年の期間経過間近になってから催告をしたとしても、期間を伸長させることはできないということです。

離婚後2年の期限経過後も例外的に財産分与が認められるケース

次の場合には、離婚後2年が経過した後であっても、例外的に財産分与が認められます。

相手が任意に支払うケース

期間が経過したからといって、お互いが合意の上で財産分与を行うことまでが禁止されるわけではありません。
期間経過後であっても相手が請求に応じてくれるのであれば、財産分与を受けることは可能です。

相手が財産隠しをしていたケース

相手が財産分与の対象となる財産を隠していた場合には、離婚から2年経過後であっても相手に請求することが可能です。ただし、財産分与として請求はできないため、不法行為に基づく損害賠償などとして請求することが考えられます。

たとえば、相手の「財産など一切ない」との言葉を信じて財産分与をしないまま離婚をしたにもかかわらず、実は隠し財産があったことが後から発覚した場合などがこれに該当します。

この場合には、早期に弁護士へご相談ください。

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