財産分与に「時効」や「期限」はある?財産分与の注意点を弁護士がわかりやすく解説

財産分与に「時効」や「期限」はある?財産分与の注意点を弁護士がわかりやすく解説

財産分与の手続きをスムーズに進めるにはどうすればよい?

財産分与ができる期間を過ぎてしまうことのないよう、財産分与の手続きをスムーズに進めるにはどうすればよいのでしょうか?
財産分与の手続きをスムーズに進めるための主なポイントは次のとおりです。

離婚問題に詳しい弁護士へ相談する

財産分与の手続きをスムーズに進めたい場合には、離婚問題に詳しい弁護士へ早期に相談することをおすすめします。

財産分与では相手が財産を隠したり嘘の申告をしたりするケースが少なくなく、自分で話し合いをまとめることは容易なことではありません。
また、相手の都合のよい内容で丸め込まれてしまう場合もあることでしょう。

離婚問題に詳しい弁護士は財産分与にまつわる判例を熟知している他、相手との交渉にも慣れています。
無理に自分で交渉をして後悔してしまうことのないよう、財産分与の交渉はぜひ弁護士へお任せください。

あらかじめ主張をまとめて交渉に挑む

財産分与について主張をしたい内容が定まっていなければ、相手の言い分で丸め込まれてしまう可能性が高いほか、交渉の落としどころを探ることも困難です。

そのため、財産分与の交渉に挑む前に、まずは自分の主張をまとめておきましょう。

ただし、自分の主張をまとめるためには、過去の事例を知っておく必要があるほか、財産分与の対象となる相手の財産をある程度把握しておく必要があります。
弁護士はこの点でもお手伝いが可能ですので、ぜひ早期に弁護士へご相談ください。

期限以外の財産分与の注意点

財産分与を請求する際には、期限以外に次の点に注意しましょう。

相手の財産隠しに注意する

財産分与に際しては、分与をする財産をできるだけ減らしたいと考える相手が、財産隠しをする可能性があります。
財産については相手の言葉を鵜呑みにするのではなく、その根拠資料を求めるようにしましょう。

また、財産隠しが疑わしい場合には弁護士へ相談のうえ、可能な限り調査をしてから交渉に挑むことをおすすめします。

特有財産と共有財産を分けておく

財産分与を受ける金額は、相手の財産のみならず、自分の財産も影響します。

そのため、自分の財産の中に、先ほど解説した財産分与の対象とならない財産がある場合には、あらかじめきちんと分けておくとよいでしょう。

住宅ローンが残っている場合には金融機関へ相談する

財産分与により、自宅の名義を変える場合もあるかと思います。
この場合において、自宅のローンが残っているのであれば、財産分与の取り決めをする前に、あらかじめ金融機関へ相談しておきましょう。

なぜなら、住宅ローンの約款では、仮に金融機関の事前承諾なくローン対象となっている住宅の名義を変更した場合には、ローン残額の一括返済を請求できる旨の内容が盛り込まれていることが多いためです。

後のトラブルを防ぐため、住宅ローンの残った住宅を財産分与の対象とする場合には、あらかじめ金融機関へ相談することを忘れないようにしてください。

不動産を受け取った場合には登録免許税が課税される

財産分与を受けた場合において、贈与税は原則として課税対象外です。
しかし、他のあらゆる税金までもが免除されるわけではありません。

財産分与において特に注意しておくべき税金は、登録免許税です。
登録免許税とは、法務局で不動産の名義を変える際などにかかる税金です。

財産分与で不動産をもらった場合の登録免許税は、次のように計算されます。

登録免許税額(財産分与)=その不動産の固定資産税評価額×1,000分の20

たとえば、受け取った不動産の固定資産税額が2,000万円であれば40万円、受け取った不動産の固定資産税額が4,000万円であれば80万円もの登録免許税がかかるということです。

不動産の価値が大きければかなりの額の登録免許税がかかることとなりますので、どの程度の登録免許税がかかるのか、あらかじめ確認しておくべきでしょう。

不動産を渡した場合には譲渡所得税の課税対象となることがある

譲渡所得税とは、不動産などの財産を売った場合の「儲け」に対してかかる税金です。

実は、財産分与で不動産を渡した場合であっても、この譲渡所得税の対象となります。
財産分与には対価はなく、売ったわけではありません。
それにも関わらず、なぜ譲渡所得税の対象となるのかと腑に落ちない人もいることでしょう。

しかし、財産分与で不動産を渡したということは、その代わりに金銭など他の財産を支払わずに済んだということです。
そのため、財産分与で不動産を渡した場合には、その不動産を時価で売却したものとみなして譲渡所得税が計算されることになっています。

なお、譲渡所得税はそもそも、売った際の対価(財産分与の場合には、時価)よりも買った際の対価などが高い場合にはかかりません。
また、マイホームを売った場合には、3,000万円もの特別控除が定められています。

そのため、離婚に伴う財産分与で譲渡所得税を実際に支払うべきケースは、さほど多くはないものと思われます。
ただし、特別控除を使うには申告をする必要がありますので、不安な場合にはあらかじめ管轄の税務署か税理士などの専門家へ確認しておくとよいでしょう。

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