別居婚とは?メリットや手続き方法、離婚時の注意点を弁護士がわかりやすく解説

別居婚とは?メリットや手続き方法、離婚時の注意点を弁護士がわかりやすく解説

別居婚をはじめる際の手続き

これから婚姻をして別居婚を始めようとする場合に必要となる主な手続きは、次のとおりです。

婚姻届を提出する

別居をしたままであっても、婚姻をするのであれば、役所へ婚姻届を提出する必要があります。
婚姻届は一緒に提出しに行っても構いませんし、一方があらかじめ記入したものをもう一方が役所へ持っていく形で提出をしても構いません。
また、婚姻届の提出先は全国どこの市区町村役場であってもよいこととなっています。

婚姻届には夫婦それぞれの住所を記載する欄がありますが、別居婚の場合にはそれぞれの住所を記載します。
夫婦の住所が異なっても問題ありません。

また、「同居を始めたとき」の欄は、空欄のままで結構です。

別居をしたままであっても、婚姻届が無事に受理された時点で、2人は正式な夫婦となります。

住所を移すなら住民票を異動する

別居婚の開始に伴い、たとえば相手の住居近くに住所を移す場合などには、住民票の異動を行います。

引越し前後の市区町村が同じであれば、その市区町村役場へ転居届を提出するだけで構いません。
市区町村をまたいで引越しをする場合には、まず引越し前に市区町村役場に「転出届」を出して「転出証明書」を受け取ります。
その後、引っ越し後に新たな住所地となる市区町村役場に、この「転出証明書」と「転入届」を提出してください。

住所を変更した場合には、運転免許証やマイナンバーカードなどの住所変更も忘れずに行っておきましょう。

扶養に入るなら扶養控除申告書を提出する

別居婚であっても、収入などの要件を満たすのであれば、相手の扶養に入ることが可能です。

会社員が相手を扶養に入れる場合には、年末調整シーズンに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」へ相手を扶養対象の配偶者として記載をして、会社に提出しましょう。

自営業者などの場合には、確定申告の際に相手を扶養親族として申告します。

別居婚の課題やデメリット

別居婚には、課題やデメリットも存在します。
次の点を踏まえて、別居婚を選択するかどうかよく検討するとよいでしょう。

生活費がかさみやすい

一般的に、1つの家で二人暮らしをした場合の生活費は、それぞれが一人暮らしをした場合の合計額よりも小さくなります。
そのため、別居婚の場合には同居の場合と比較して、生活費がかさみやすいといえるでしょう。

離婚へのハードルが低くなりやすい

別居婚の場合には、仮に離婚をしたとしても生活は大きく変わりません。
そのため、通常の婚姻と比較して離婚へのハードルが低くなりやすいといえるでしょう。

また、同居よりは新鮮さを保ちやすいとはいえ、定期的に顔を合わせていれば、いつまでも新鮮さを保つことは困難です。
その際に夫婦関係を継続することができるかどうが、婚姻継続の一つのハードルとなる可能性があります。

不貞が起きやすい

別居婚における自由さの裏返しとして、不貞行為が起きやすいというデメリットが挙げられます。
同居している場合と比べて、自分は既婚者であるとの意識が低い可能性が高いうえ、不貞行為が発覚しにくいであろうこともその理由の一つです。

子供が生まれた場合に問題が起きやすい

自由さや新鮮さを求めて別居婚をしていた場合、夫婦の間に子供ができると問題が起きやすいでしょう。

妻側が実家で暮らしていて手厚い援助が受けられる場合などでない限り、別居をしたまま子を生んで育てることは非常に困難であるためです。
そのため、妊娠が発覚した時点で、妻側は同居を求める可能性が高いといえます。

この段階で夫側が考えを変えず、引き続き自由を謳歌したいなどと考えていては、夫婦関係を継続させることは困難でしょう。

周囲から反対される可能性がある

別居婚を選択する夫婦にはそれなりの事情や理由があるとはいえ、夫婦が離れて暮らすことが自然ではないと考える人は少なくありません。
単身赴任や子の福祉のためなどやむを得ない事情があるのであればまだしも、自由な生活を求めるためなどの理由による別居婚では、周囲の理解が得られない可能性があります。

理由を詮索されたり反対意見を述べられたりするなどして嫌な思いをする可能性があるため、ある程度の覚悟が必要となるでしょう。

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