育児休業給付金の計算方法を知りたい!支給時期もチェック

第177回 みんなが共感!ママのお悩み
育児休業給付金の計算方法が分かると、収入への不安を減らし具体的な生活の計画を立てやすくなります。育休に入ってから「もっと貯金しておけばよかった」と後悔しないように、正しい計算方法を押さえておきましょう。

育児休業給付金の計算方法

育休に入る前に育児休業給付金を受け取れる期間や、いくらもらえるのかをチェックして休業後の生活の見通しを立てましょう。支給期間や、給付金の計算方法を紹介します。

給付金を受け取れる期間

育児休業給付金を受け取れる期間は、男女で異なります。母親の給付期間は産後休業期間が終了する日の翌日から、子どもの1歳の誕生日前日までです。産後休業期間は「出産後8週まで」です。

父親の場合は子どもの誕生した日から、1歳を迎える前日までが給付金を受け取れる期間です。夫婦それぞれに給付金が支給され、給付条件の違いなどはありません。

給付金の計算式

育児休業給付金は、休業開始からどれくらいの期間が経過しているかによって支給率が変わり、受け取れる金額も異なります。育休が後半になるほど、支給金額が減る点を押さえておきましょう。

・育児休業開始から180日まで…休業開始時賃金日額×支給日数×67%
・育児休業開始から181日目以降…休業開始時賃金日額×支給日数×50%

休業開始時賃金日額は、育児休業の開始日から遡って6カ月間の賃金を180で割って算出します。この賃金は「保険料等が控除される前」の総支給額で、賞与は含まれません。

月収30万円なら15~20万円程度

休業開始前の6カ月の平均月収が30万円だった場合を例に計算してみましょう。休業開始時賃金日額は「180万円÷180日=1万円」となります。

・育児休業開始から180日まで…1万円×30日×0.67=20万1000円
・育児休業開始から181日目以降…1万円×30日×0.5=15万円

後半になると、収入が5万円近く減ることになる点に注意しましょう。月収が多い人ほど休業開始時賃金日額が増え、受け取れる額が大きくなる仕組みです。

支給額には上限がある

育児休業給付金の支給額には上限があり、限度額を超える場合は一律で限度額が支給されます。

支給限度額(2022年10月現在)
・育児休業開始から180日まで(支給率67%)…30万5319円
・育児休業開始から181日目以降(支給率50%)…22万7850円

例えば平均月収が50万円で休業開始時賃金日額が1万6667円だった場合、支給限度額を超えてしまうので、一律で上記の金額が支給される決まりです。限度額は定期的に見直しが行われています。

参考:令和4年8月1日から支給限度額が変更になります。|厚生労働省

育児休業給付金の申請や支給時期

育児休業給付金は、どこでどのようにして受け取ればよいのでしょう。申請方法や支給時期について紹介します。

会社を通じて申請するのが一般的

育児休業給付金は会社からではなく雇用保険から支給されますが、育児休業給付金の申請は、育児休業を申し出るときと同様に会社の上司や総務部などに連絡します。

申請者本人から連絡を受けた会社が、ハローワークに申請手続きを行う方法が一般的です。申請が済んだら必要書類が送られてくるので、記入後に会社に提出します。その後、そろった書類を会社がすべてまとめてハローワークに提出する流れです。

産休や育児休業前に会社の受付窓口や必要書類を確認しておくと、慌てずに申請できるでしょう。

申請者本人が用意する書類は、母子健康手帳の写し・本人確認書類の写し・給付金を振り込んでもらう銀行口座の写しなどです。スムーズに提出できるように準備しておきましょう。

申請や支給は2カ月ごと

育児休業給付金の申請や支給は一括で行われるわけではなく、2カ月ごとに申請して2カ月分を受け取ります。申請方法は初回と同じように会社に連絡して手続きをしてもらい、申請する都度、必要書類の提出が必要です。

給付金は支給決定日から約1週間で振り込まれます。会社を通じて育児休業の申請手続きが完了した後、受給資格の確認後にハローワークから「育児休業給付金支給決定通知書」や「育児休業給付金支給申請書」が送られてくるので確認しましょう。

通知書には、支給される金額や次回の支給申請日などが記載されています。

男性は出生時育児休業を取得できる

2022年10月1日、男性の育児休業の取得を促進するために「出生時育児休業」が新設されました。男性は育児休業だけでなく、出生時育児休業を取得できます。どのような制度なのか、見ていきましょう。

出生時育児休業とは

出生時育児休業は通称「産後パパ育休」と呼ばれ、男性が子どもの誕生後8週間以内に、最大4週間まで休業できる制度のことです。

労使協定を締結していれば育休中でも就業できますが、就業可能日数や時間には上限が設けられており、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分以下でなければなりません。

出生時育児休業は育児休業と組み合わせて取得が可能で、最大で4回まで分割して休業できるなど、これまでよりも柔軟に対応できるようになりました。

例えば、妻が職場に復帰するタイミングで夫が再び育休に入り、妻の復職をサポートするといった使い方ができるところが魅力です。

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省

出生時育児休業給付金を受け取れる

出生時育児休業中は、出生時育児休業給付金を受け取れる決まりがあります。最長4週間まで取得でき、支給日数は7日×4週間で最大28日となります。

28日分取得する場合の出生時育児休業給付金の支給額の計算方法は、「休業開始時賃金日額×休業した日数(28日)×67%」です。

引き続き育児休業を取得した場合、賃金日額の67%の育児休業給付金を受け取れるのは、180日から出生時育児休業の28日を差し引いた、残り152日間となります。

参考:育児休業給付の内容と支給申請手続|厚生労働省

出産に際して申請するともらえるお金

育児休業給付金だけでは出産費用や、産休中の生活費が心配という人もいるでしょう。出産に際して、申請すればもらえるお金を紹介します。

健康保険から「出産手当金」

出産手当金は健康保険の被保険者本人が出産のために会社を休むとき、一定の日数で支給される補助金のことです。被保険者の生活保障を目的に支給され、国民健康保険の加入者には適用されません。

期間は出産予定日以前の42日間と出産した翌日以降56日間の範囲内で、会社を休んでいて給料が発生しなかった時期が該当します。

出産手当金の日額は、「支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」で計算しましょう。

標準報酬月額は、毎月の給与を区切りのよい幅に分けたものです。保険料などを計算する際に使われており、自分がどの区分に当てはまるかは加入している健康保険のホームページなどで確認できます。

出産費用を補填する「出産育児一時金」

出産育児一時金は健康保険の種類を問わず、被保険者または被扶養者が出産したときに申請すると受け取れます。

1児につき「42万円」が支給され、多胎児を出産したときは、胎児数分が支給される決まりです。妊娠4カ月以上で出産した子どもが対象で、出産の方法を問わずにもらえます。

直接支払制度と受取代理制度があり、出産時に医療機関に払う費用と相殺できる仕組みです。いずれの場合も医療機関が出産育児一時金の申請や請求をしてくれるので、申請にかかる手間を減らせます。

もし、差額がある場合は申請すれば差額分を受け取れますが、出産費用が42万円以上の場合は逆に差額を払わなければなりません。出産前に医療機関と合意文書を締結しておけば、直接受け取ることも可能です。

まとめ

育児休業給付金を受け取れる時期や支給額を理解していると、産後に向けた生活の計画を立てやすくなります。男性は出生時育児休業を使って、産後の妻をサポートしやすくなりました。

分割での利用や限られた範囲内で就業が可能になるので、これまで育児休業を取得するのはハードルが高いと思っていた人でも、育休を利用しやすいはずです。

出産手当金や出産育児一時金も産後の生活を助ける重要な役割を担っているので、あわせてチェックしましょう。

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