マリー・アントワネットも愛した「クグロフ」の話。アルザスのクリスマス伝統菓子の食べ方を料理家・星谷菜々さんが教えてくれた

マリー・アントワネットも愛した「クグロフ」の話。アルザスのクリスマス伝統菓子の食べ方を料理家・星谷菜々さんが教えてくれた

フランス東部・アルザス地方のクリスマスに欠かせない伝統菓子・クグロフ。帽子(王冠)のような型で焼き上げるドライフルーツやアーモンド入りのブリオッシュで、クリスマスの時期、日本のパン屋さんやパティスリーにも登場する。素朴でやさしい味わいのクグロフの魅力と、料理家・星谷菜々さんおすすめのおいしい食べ方をお届けします。

クグロフとは

パンとしても楽しめる素朴な味わい「クグロフ」の話

クグロフの歴史はとても古く、キリストの誕生を祝う東方の三博士が陶器職人の家に泊めてもらったお礼に、被っていた帽子の形をした型を作って焼いたのがクグロフだという説。マリー・アントワネット(1755年~1793年)がオーストリアからお嫁入りのときに持ち込んだのがクグロフだったなど、さまざまな説が伝えられている。

オーストリア、ドイツ、スイスでも食べられているクグロフ。その中でも、発祥の地ともいわれるフランス東部のアルザス地方の町のあちこちには、クグロフを焼く専用の陶器が売られている。一家に1台はクグロフ型があり、クリスマスやお祝いのときに焼くのが習慣。陶器の型はオーブンの熱がゆっくりと均一に伝わるため、ふんわりした食感の生地になるそう。

斜めにうねりのあるクグロフ型にバターを塗り、底にアーモンドを散らすのがアルザス地方伝統のクグロフ。洋酒などで漬け込んだレーズンなどのドライフルーツ入りの生地を流し込み、焼き上がったら粉砂糖をまぶして仕上げる。甘さ控えめなのでパンとしていただくことも多く、ハムやチーズを挟んでクロック・ムッシュとして楽しむ人も。

関連記事: