離婚裁判で財産分与について譲れない!知っておくべき重要ポイント

離婚裁判で財産分与について譲れない!知っておくべき重要ポイント

3、財産分与を争う際の離婚裁判の流れ

財産分与を争う場合の離婚裁判の流れは以下のとおりです。

(1)家庭裁判所に訴訟提起

離婚裁判は、家庭裁判所に訴状を提出することによって始まります。訴状の提出先の裁判所は、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所です。

(2)第1回口頭弁論期日の指定

裁判所で訴状が受理されると、第1回口頭弁論期日の日時が決められ、被告に対して訴状の副本と期日の呼出状が送達されます。

被告は、期日の1週間前までに訴状に対する反論を記載した答弁書を提出することになります。

(3)第1回口頭弁論期日

当事者は、決められた日時に裁判所に出頭し、第1回口頭弁論期日が開かれます。第1回口頭弁論期日では、当事者から提出された訴状と答弁書が陳述されて、提出した証拠の確認が行われます。

そして、2回目以降の期日が決められて、第1回口頭弁論期日は終了となります。

(4)第2回目以降の期日

離婚裁判の期日は、概ね1か月に1回のペースで行われます。調停とは異なり、離婚裁判は、書面審理が中心になりますので、当事者から提出される主張書面や証拠をもとにして争点の整理が行われます。

離婚裁判では、財産分与以外にも親権、養育費、慰謝料などの事項が争われることになりますので、すべての争点が整理されるまでには1年以上もかかることも珍しくありません。特に、親権に争いがある場合には、家庭裁判所の調査官による調査が行われることもありますので、それによって解決までの期間が延びてしまいます。

財産分与について争いがある場合には、以下のような順番で審理が進められるのが一般的です。

財産分与の対象財産の確定
財産分与の対象財産の評価の決定
財産分与の割合の決定
財産分与の方法の決定

(5)和解期日

ある程度争点整理ができた段階で、裁判官から和解の提案がなされることがあります。

その時点の裁判官の心証を踏まえて財産分与を含めた離婚にあたっての諸条件が提示されます。和解を受け入れることによって、早期に解決をすることも可能ですので、納得できる条件であれば和解提案を受け入れることも検討するとよいでしょう。

(6)離婚裁判の判決

和解を受け入れない場合には、その後も審理が続き、最終的に当事者の主張立証を踏まえて裁判官が判決を言い渡します。判決内容に不服がある場合には、高等裁判所に控訴をすることも可能です。

4、財産分与がまとまらない場合は急げ!分与請求権は離婚から2年で消滅

離婚後に財産分与を請求することを考えている方は、以下のような期限がありますので忘れずに権利を行使しましょう。

(1)財産分与を請求できる期限

財産分与は、離婚の際に一緒に請求することが一般的ですが、離婚後に財産分与だけを請求することも可能です。財産分与で揉めていてなかなか離婚できない夫婦がとりあえず離婚を先に成立させるという事例も少なくありません。 

このように離婚後に財産分与を請求する場合には、期限があることに注意が必要です。財産分与請求権は、離婚後2年を経過すると権利が失われてしまい、それ以降は財産分与を求めることができなくなってしまいます。

(2)期限が迫っている場合の対処法

財産分与請求権の期限は、「時効」ではなく「除斥期間」とされています。

除斥期間とは、時効のよう更新や完成猶予といった制度はなく、一定の期間の経過によって当然に権利が失われる制度です。そのため、内容証明郵便などによって財産分与の請求をしたとしても、期間の進行が中断するということはありません。

ただし、2年の除斥期間の期限内に家庭裁判所に調停または審判を申し立てることによって、たとえ調停や審判中に2年の期限が経過したとしても財産分与を請求することは可能になります。財産分与の期限が迫っているという場合には、早期に調停または審判を申し立てるようにしましょう。

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