営業妨害とは?犯罪が成立するケースと訴えられたときの対処法

営業妨害とは?犯罪が成立するケースと訴えられたときの対処法

3、営業妨害が威力業務妨害罪に該当するケース

営業妨害が威力業務妨害罪に該当するケースもあります。

(1)威力業務妨害罪とは

威力業務妨害罪は「威力」を用いて相手の「業務」を妨害する犯罪です(刑法第234条)。

「威力」とは、人の自由意思を制圧するのに足りる勢力を示すことをいいます。簡単にいうと、威迫的な行為によって、相手にプレッシャーをかけて怯えさせることです。暴行や脅迫がわかりやすいですが、次の項目で示すように、それらに至らない程度の威迫行為であっても、広く認められます。

「業務」は、偽計業務妨害罪と同様に、職業等の社会生活上の地位に基づいて、社会生活を維持する上で反復・継続して行われることです。実際に業務に対する妨害の結果が生じなくても、妨害されるおそれが生じれば威力業務妨害罪が成立します。

(2)威力業務妨害罪に当たる具体的な行為

偽計業務妨害罪の具体例は次のとおりです。暴行・脅迫以外の行為でも成立します。

デパートでヘビをまき散らした
航空機内でマスク着用を拒否して大声を挙げた
ネット掲示板で殺害予告をした

(3)威力業務妨害罪の罰則

威力業務妨害罪を犯すと、偽計業務妨害罪と同じく「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。実刑判決がくだされる可能性もあります。

4、営業妨害が電子計算機損壊等業務妨害罪に該当するケース

やや特殊なケースですが、営業妨害が電子計算機損壊等業務妨害罪に該当する事例も想定されます。

(1)電子計算機損壊等業務妨害罪とは

電子計算機損壊等業務妨害罪とは、コンピュータを対象とする業務妨害を罰する犯罪類型です(刑法第234条の2)。

業務に使用するコンピュータに対し、以下の行為により動作障害を引き起こして「業務」を妨害すると成立します。

コンピュータを物理的に破壊する
コンピュータのデータを破壊、消去する
コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与える
その他の方法でコンピュータを誤作動させる

(2)電子計算機損壊等業務妨害罪に当たる具体的な行為

たとえば、次の行為に電子計算機損壊等業務妨害罪が成立します。

会社のパソコンにウイルスを送りデータを消去させた
放送会社のホームページの天気予報画像をわいせつ画像に書き換えた
サイトに異常なアクセスをして障害を引き起こした

(3)電子計算機損壊等業務妨害罪の罰則

電子計算機損壊等業務妨害罪の罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。コンピュータを対象とする行為は影響範囲が広くなりうるため、偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪と比べて重い刑罰となっています。

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