営業妨害とは?犯罪が成立するケースと訴えられたときの対処法

営業妨害とは?犯罪が成立するケースと訴えられたときの対処法

5、営業妨害がその他の犯罪に該当するケース

営業妨害は、業務妨害罪のほかにも以下の各犯罪に該当する可能性があります。

(1)信用毀損罪

営業妨害が信用毀損罪に該当するケースもあります。

信用毀損罪とは、「虚偽の風説の流布」や「偽計」により「信用を毀損」する行為に成立する犯罪です(刑法第233条前段)。

「虚偽の風説の流布」や「偽計」の意味は、偽計業務妨害罪におけるものと同様です。

「信用」には人の支払能力や支払意思に関する社会的な信頼に加えて、販売される商品の品質に関する信頼も含みます。経済的側面に関する信頼が対象であり、人柄への信頼を傷つける行為は信用毀損罪の対象には含まれません。

信用毀損罪が成立する典型例としては、根拠なく「あの会社は倒産寸前だ」とウソの噂を流した場合が挙げられます。

信用毀損罪の法定刑は、偽計・威力業務妨害罪と同様に「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

(2)名誉毀損罪

営業妨害により相手の名誉を傷つけると名誉毀損罪に問われるかもしれません。

名誉毀損罪は、不特定または多数人に伝わるように事実を示して人の名誉を傷つけると成立する犯罪です(刑法第230条)。

信用毀損罪・偽計業務妨害罪とは異なり、示した事実が真実か虚偽かは問いません。真実を広めたとしても名誉毀損罪が成立するケースがあるので、注意してください。

名誉毀損罪を犯すと「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処せられます。

(3)脅迫罪

営業妨害の手段として人を脅迫することにより脅迫罪が成立する可能性もあります(刑法第222条)。

「脅迫」とは、相手やその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して、何らかの害悪を加える旨を告知することです。

たとえば、店にクレームをつけて「返金に応じないと殴るぞ」と脅せば脅迫罪が成立します。

脅迫罪の刑罰は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。

(4)不退去罪

店や会社の管理者から立ち去るように指示されたにもかかわらず応じなければ、不退去罪が成立します。

不退去罪は、建物などから退去するよう要求されているのに応じず、居座ることで成立する犯罪です(刑法第130条後段)。

たとえば、飲食店での食事中に騒ぎを起こし、店長から退店を命じられたのに拒否すれば不退去罪が成立します。

不退去罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

(5)公務執行妨害罪

警察や役所などで業務を妨害する行為をすると公務執行妨害罪となるケースが考えられます。

公務執行妨害罪は、職務中の公務員に対して暴行・脅迫を加えることによって成立する犯罪です(刑法第95条1項)。

たとえば、市役所の窓口でクレームをつけた末に公務員に暴力をふるうと、公務執行妨害罪が成立します。

公務執行妨害罪の罰則は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。

6、営業妨害の罪で逮捕されたらどうなる?

営業妨害が犯罪に該当して逮捕されると、警察や検察で最大72時間にわたって身柄を拘束され、取り調べなどの捜査がなされます。逮捕中は家族であっても面会できません。

引き続き身柄を拘束しての捜査が必要な場合には、逮捕に続いて勾留されることがあります。勾留期間は最大で20日間にも及びます。勾留期間中に、検察官が起訴するかどうか、すなわち裁判にするかどうかを決定します。

事案の内容によっては起訴後も引き続き勾留され、その場合は裁判が終わるまでは保釈されない限り身体を拘束されるため、仕事やプライベートへの重大な影響が避けられません。

どの段階においても、できる限り早く釈放してもらえるように活動することが重要です。

逮捕後の刑事事件における手続きの流れをより詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。

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