災害時に行政、ボランティア、NPO・NGO、企業からの支援をつなぐ。全国災害ボランティア支援団体ネットワーク JVOAD

災害時に行政、ボランティア、NPO・NGO、企業からの支援をつなぐ。全国災害ボランティア支援団体ネットワーク JVOAD

災害発生時の活動

災害発生時には、JVOADが先遣隊として入り、情報収集を行う、もしくは地域に災害支援のネットワークがある場合、現地から情報提供を受け、支援の見立てを行います。
こうして集めた情報をもとに、避難が長期化するかどうか、建物の片づけなどに個人ボランティア以外の専門性を持った団体による支援が必要かどうかを判断します。
また、今年(2022年)からは東京海上との協業により、東京海上と提携する衛星会社からのデータもとに、浸水の予測や水害の情報提供が行われるようになり、より早く正確な判断が行えるような体制を整えています。

西日本豪雨 ひろしま情報共有会議の様子(提供:JVOAD)

被災地の調査から多くの支援関係者が必要となった場合には、災害支援のネットワークやJVOADなどが中心となり、現地で行政と支援団体を集めた情報共有会議を開き、災害の状況や支援ニーズの把握を行うことで、“もれ”や“むら”なく支援が行き届くよう調整を行っています。

情報共有会議が本格的に行われたのは、JVOAD正式設立前の準備会のときにおきた2016年熊本地震でした。約300団体が参加し、行政と民間の支援団体からの情報提供による支援ニーズの把握や、それぞれの支援団体の得意分野を活かした支援ができるよう調整を行いました。
JVOAD設立から5年目となった現在では、支援の調整をするという考えが支援関係者の間では浸透しつつあります。例えば、2019年の台風の被害では、瓦屋根の破損に対し、自衛隊と技術的な支援ができる団体が協力しブルーシートで瓦を覆ったり、大量に発生した災害廃棄物を市民とNPO、行政が協力して撤去したりしました。そうした過去の積み上げがあり、今年(2022年)の台風15号による静岡の断水でも、水が十分にある地域、不足している地域の情報が共有され、それにもとづいた支援がされるようになっています。また、高齢者などは水の配給があっても重くて運べないことがありますが、行政が用意した水を民間の支援団体が車で配布をするといった連携もされています。

2019年台風15号 NPOによる自衛隊への瓦屋根ブルーシート講習会(提供:JVOAD)

災害がおきて時間がたってからの活動として、仮設住宅や公営住宅で使う家電、設備を物資支援するために調整を行うこともあります。
避難所から仮設住宅に移るとき、テレビは娯楽品とされ行政からは支給できないことがあります。また、熊本地震では公営住宅に移る場合、部屋に風呂釜がついておらず、入居者が自分で購入・設置をしなければいけないことがありました。
金銭的余裕のない被災者の負担を軽くするため、支援団体が助成金を受けて資金を作り、商工会議所などを通じて被災地に還元できる形で購入することもありました。このような時にJVOADが関係する組織をつなぐ手伝いをすることもあります。

平時の活動

JVOADが初めて訪れる地域では、現地の組織の関係性がわかりにくいことがあります。そのため、災害がおきる前から、行政、災害時に災害ボランティアセンターを設置する社会福祉協議会、民間の支援団体が話しあえる関係性をつくることが大切になります。また、都道府県をまたがるような広い範囲で災害がおきたときにはJVOADだけでは対応することはできません。

そのため、都道府県に行政と各団体との調整を行う災害中間支援組織(災害支援のネットワーク)を作る取り組みを行っています。すでに18都道府県でネットワーク化が進んでいますが、NPOの数が少なかったり、地場企業を巻き込んでもなかなか実現できなかったりする地域もあり、空白となっている地域にどのように組織をつくっていくかが課題となっています。

また、今では情報共有会議をするという認識が支援関係者の間で定着してきており、地域で自発的に会議を開くこともあります。その反面、会議で何を決めればいいかがわからず、行った支援の報告で終わってしまうこともあり課題となっています。
そのため、日本国内における災害時のコーディネーションについてガイドラインをまとめ、コーディネーションが行える人材をつくる取り組みも進めています。

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