離婚後に生活保護を受けるために知っておくべき6つのポイント

離婚後に生活保護を受けるために知っておくべき6つのポイント

5、離婚後に生活保護の申請を断られたときの対処法

離婚後に生活保護の受給条件を満たしていると思って申請しても、断られるケースもあります。

本項では、その際の対処法についてご説明します。

(1)生活保護を受けるのは簡単ではないのが現実

実は、受給条件を満たしている方でも、生活保護を受けるのはそう簡単ではありません。

近年、生活保護の受給者が増加しており、自治体の財政が圧迫されていることが理由です。自治体としては、生活保護の申請をできる限り通したくないし、そもそも申請件数を減らしたいと考えているのです。なかには、生活保護の相談に来た対象者に対して「あなたなら働けるはずです」「まずは親族に相談してみてください」などといって、追い返すケースもあると聞きます。

しかし、受給条件を満たしているのならば、生活保護を受けるのは国民の正当な権利です(生活保護法第2条)。一度断られると、再び申請するのが億劫になるかもしれませんが、あきらめる必要はありません。

(2)弁護士を通じて申請するのが有効

生活保護の申請がスムーズにいかない場合や、申請に不安がある場合は、弁護士を通じて申請するのが有効です。

弁護士は依頼を受ければ生活保護の申請を代行できますし、ケースワーカー等との交渉も行います。

受給条件を満たしている以上、自治体が対象者からの申請を法的に拒むことはできません。

弁護士から的確な説明と交渉を行うことで、生活保護を受給できる可能性が高まります。

(3)生活保護の受給が難しいときは他の公的支援の利用等を検討

ご自身では生活保護の受給条件を満たしていると思っていても、申請後の調査の結果、実は満たしていないことが判明するというケースもあるでしょう。

その場合は仕方ありませんので、他の公的支援の利用や元配偶者への養育費の請求などが本当にできないのかを再度検討してみましょう。

受給が難しいと思うような場合でも、弁護士に相談することで良い解決方法が見つかることもあります。

6、生活保護を受ける目的で離婚するのは要注意

実際には配偶者と別れるつもりはないのに、生活保護を受ける目的で形式上離婚することは絶対にしないでください。

以上のような行為は「偽装離婚」に該当し、発覚すると重いペナルティがあります。生活保護を打ち切られ、受け取った保護費の返還を求められます。

意図的かつ悪質な不正受給と判断されると、さらに徴収金を支払わなければなりません。

第七十八条

不実の申請その他不正な手段により保護を受けたときは(中略)、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

引用元:生活保護法

「返還金」と「徴収金」を合わせると、最大で受け取った保護費の2.4倍の金額となります。これだけでもかなり重いペナルティですが、さらに刑事事件として告訴されるおそれもあります。

偽装離婚による生活保護の不正受給で成立しうる犯罪名と刑罰は、以下のとおりです。

生活保護法違反(生活保護法第85条):3年以下の懲役または100万円以下の罰金
詐欺罪(刑法第246条1項):10年以下の懲役
公正証書原本不実記載罪(刑法第157条1項):5年以下の懲役または50万円以下の罰金

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