3、どんな行為が賭博罪になる?
具体的にどういった行為が賭博罪の処罰対象になるのでしょうか?
賭博罪になる例、ならない例を解説します。
(1)賭け麻雀、賭けゴルフも賭博にあたる
賭け麻雀や賭けゴルフは賭博にあたります。
力量の差があるとはいえ、偶然の要素が絡む勝負について金銭を賭けているためです。
少額であっても金銭を賭ければ形式的には賭博罪が成立します。他には、たとえば賭けポーカー、野球賭博も賭博罪になります。
とはいえ、すべてを取り締まるのは現実的ではありません。
賭け金が少なければ実際に処罰の対象になる可能性は低いでしょう。
また、少人数の仲間内で賭け事をしている限りは、警察に発覚する可能性も低いといえます。
しかし万が一、発覚すると、賭け金・レートが高い場合には逮捕・起訴されるリスクが高まります。
(2)オンラインカジノは議論が分かれる
オンラインカジノとは、インターネット上で開設されているギャンブルです。
オンラインであっても、偶然の勝敗に金銭を賭けている以上、利用者に賭博罪が成立するとの解釈が可能です。実際に利用者が逮捕された事例もあります。
一方で、海外にサーバーがあるオンラインカジノであれば違法でないとの考えもあります。
カジノが合法の国であれば胴元は処罰されません。また、海外で日本人が店舗にあるカジノをしても違法ではありません。にもかかわらず、オンラインカジノの日本人利用者に限って違法として処罰するのは不適切とも考えられます。
議論は分かれていますが「確実に合法だ」とはいえないのが現状です。
(3)公営ギャンブルやパチンコは対象外
公営ギャンブルは、特別に法律で認められているため賭博罪の対象にはなりません。したがって、公営の競馬・競艇・競輪・オートレースは合法です。
パチンコは疑わしいと考える方もいるかもしれませんが、「三店方式」という営業形態をとっているため合法とされます。
三店方式では
パチンコ店で、客の出玉と特殊景品を交換する
交換所(パチンコ店とは別)で、客が特殊景品と現金を交換する
景品問屋が、交換所から特殊景品を買い取りパチンコ店に卸す
という形で、出玉と現金の交換が事実上可能になっています。
4、賭博罪の判例
賭博罪で有罪になった事例をご紹介します。
(1)野球選手が野球賭博をした事例
現役プロ野球選手が、野球賭博をした事例です(東京地裁平成28年10月5日判決)。
チームメイトから掛け金を集めたほか、自身も賭博をしたとして、賭博開帳図利ほう助罪と常習賭博罪に問われました。判決では、懲役1年2月、執行猶予4年の判決が言い渡されました。
捜査に協力し、球団を解雇されて社会的制裁は受けていることなどが、執行猶予がついた理由です。
(2)オンラインカジノ運営者が処罰された事例
オンラインカジノを運営していた会社役員が逮捕・起訴された事例です(京都地裁平成28年9月14日判決)。
オンラインカジノを合法とする考えでは、運営者は海外にいるのが前提です。
この事例では、サーバーは海外に置いていたものの、国内に居住している被告人が日本人のみを相手に運営していたため処罰の対象となったと考えられます。
結果として、会社役員には賭博開帳図利罪で懲役3年、執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。
配信: LEGAL MALL