7、万が一、詐欺罪に問われたときは弁護士に相談を
詐欺罪が成立するかどうかについては、学説によって立場が分かれる部分があり、定型的に処理できない場合が少なくありません。
万が一、ご自身やご家族が詐欺罪に問われた場合は早めに弁護士に相談することをおすすめします。
「詐欺罪にならないだろう」とご自身で安易に判断したものの、後になってから逮捕されるケースもありますので、弁護士に相談の上慎重に今後の対応を考えていきましょう。
弁護士に依頼をすることで、詐欺罪への該当性や今後の刑事手続の流れについて説明・アドバイスを受けることができたり、実際に逮捕された場合は取調べへの対応についてアドバイスしてもらえたりします。
さらに、被害者との示談交渉を進めてもらい、示談成立により処分の軽減を図ることも可能となります。
今後の流れや対策を知るためにも、お気軽に弁護士にご相談ください。
欺罔行為に関するQ&A
Q1.欺罔行為とは?
欺罔行為とは人を欺く行為のことです。平たく言えば、相手の財産を加害者へ引き渡すために嘘の情報を伝える行為が該当します。
また、積極的に相手を騙す行為をするのではなく、ただ何もしなかったことで本要件に該当するケースもあります。
具体的には、すでに相手が誤った認識をしていることを知っているにもかかわらず、真実をあえて告知しないことなどを指します。何もしていないのに犯罪の要件を満たすのは不思議な気がするかもしれませんが、加害者が何もしないことで被害者による財産の交付行為をそのまま進めさせてしまうことがあるので注意しましょう。
Q2.詐欺罪とは?
刑法第246条にいう「詐欺罪」が成立するには、以下の4つの構成要件を全て満たす必要があります。
・欺罔行為
・欺罔行為によって被害者が錯誤に陥る
錯誤という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、平たく言うと、相手が勘違いをしたということです。
すなわち、客観的に発生している事実と被害者が考えていること(認識)が一致しないときに、錯誤に陥ったと判断されます。
・錯誤に基づく財産の交付または財産上の利益移転
欺罔行為によって被害者が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて被害者から加害者へ財産の交付または財産上の利益移転がなされることが構成要件として必要です。
・因果関係
上記の3つの要件がそれぞれ因果関係でつながれば、詐欺罪の構成要件を全て満たすことになります。
つまり、欺罔行為によって被害者が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて被害者が財産の交付・財産上の利益を移転したことが必要です。
Q3.何も言わなくても詐欺罪が成立することも!不作為による欺罔行為とは?
詐欺罪の欺罔行為というと、積極的に人を騙そうとしたり意識的に人を欺いたりする行為をイメージする人が多いですが、何も言わなくても詐欺罪が成立することがあります。
積極的挙動(行為をすること)のことを「作為」、消極的挙動(行為をしないこと)を「不作為」と言いますが、不作為による欺罔行為でも詐欺罪が成立するケースがありますので注意が必要です。
・釣り銭詐欺のケース
①レジ係が釣り銭を余分に渡そうとしていることを知りつつ、そのまま黙って受け取った
レジ係が釣り銭を余分に渡そうとしていることを知りつつその場で黙って受け取ったケースでは、積極的にレジ係を騙そうとしているわけではありません。そのため、作為による欺罔行為は存在しません。
しかしながら、レジ係は釣り銭の金額を勘違いしているので、釣り銭の受け取り手には真実を告知する義務があります。
それにもかかわらず黙って釣り銭を受け取った行為は、不作為による欺罔行為に該当します。
したがって、このケースでは詐欺罪が成立します。
・無銭飲食・宿泊のケース
①所持金がなく支払いの意思もないのに飲食・宿泊をした場合
飲食・宿泊をする際、通常はお金を支払う意思があることを前提に、飲食・宿泊のサービスを受けます。
支払いの意思がないにもかかわらず飲食・宿泊をした場合、支払い意思がないのに支払い意思があるかのように人を欺き(欺罔行為)、支払い意思があるものと店側を錯誤に陥らせ、飲食や宿泊のサービス提供を受けていることになります。
したがって、このケースでは詐欺罪が成立します。
まとめ
欺罔行為に該当するかどうかは学説によって見解が分かれる部分があり、「欺罔行為に当たらないだろう」と安易に判断してしまうと後に処罰を受ける可能性があります。
釣り銭詐欺や無銭飲食など、日常生活の中にも詐欺行為と判断されるものがありますので注意しましょう。
万が一詐欺行為をしてしまったり逮捕されてしまったりした場合は、早急に弁護士にご相談ください。
詐欺罪の法定刑には罰金刑がなく、執行猶予が付かなければ実刑判決が下されてしまうおそれもあります。弁護士と相談の上、慎重に進めていきましょう。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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