改正少年法で18歳~19歳が厳罰化!旧法からの変更点を分かりやすく解説

改正少年法で18歳~19歳が厳罰化!旧法からの変更点を分かりやすく解説

5、改正少年法で前向きに捉えられるポイント

改正少年法の主な内容は「18歳・19歳の厳罰化」といえますが、変わらなかったポイントを含めて悪いことばかりではありません。

矯正教育の新プログラムや、弁護活動の効果を考えると、少年本人と支援者にとって前向きにとらえられる部分が多数あります。

(1)特定少年向けの教育が拡充される

特定少年に対する少年院での矯正教育は、法改正に伴う議論で「18歳未満の者とも20歳以上の者とも異なる取扱いをすべき」であるとされました。

少年院では、子どもと大人の中間である点を踏まえ、具体的に以下のような教育の拡充が図られる予定です。

新しい教育プログラムの導入(成年の自覚と責任の喚起等)
学びの機会確保(高等学校卒業程度認定試験の受験、通信制高校への入学等)
 時代のニーズに対応した職業指導種目の設置(資格取得・職業体験等)
円滑な社会復帰を見据えた多様な活動(早期の帰住先確保等)

参考:「罪を犯した18歳及び19歳の者に対する矯正教育(仮)に係る検討会」報告書について/法務省

(2)弁護活動には従来通りの効果が期待できる

健全育成目的の理念は守られ続ける点で、たとえ10代終盤の少年であっても、弁護活動に対する家庭裁判所や検察官の反応は大きく変わらないでしょう。

示談や環境調整等の弁護活動には、従来通りの効果が期待できます。

▼少年事件の弁護活動の例

被害者との示談
少年との接見、取調べ対応のアドバイス
裁判官への意見書提出等(勾留の必要がないことの説明)
環境調整、人間関係の修復(不良グループからの引き離し等)
調査官との面接(保護観察以下の処分で問題ないことの説明)

改正少年法に関するQ&A

Q1.改正少年法とは?

2022年から施行された改正少年法を一言で表現するなら、18歳・19歳の少年による犯罪に対する厳罰化です。

誤解がないようにまず説明しておくと、少年法の適用対象は20歳未満のままです。

少年事件の扱いや処分内容等も、基本的には変更されていません。

ただ、18歳・19歳には選挙権等の権利と利益が認められる点で、17歳以下の少年よりも責任ある立場となる以上、広く刑事責任を負うべきと考えられます。

①18歳・19歳は特定少年扱いに【最重要ポイント】

最も大きな変更点は、これまで17歳以下の少年と同様に扱ってきた18歳・19歳を「特定少年」として区別する点です。

②逆送(検察官送致)の対象事件が増える

「特定少年」は、「刑事処分を相当と認めるとき」の逆送類型から、対象事件の制限が撤廃されました(改正法第62条第1項)。

また、原則逆送対象事件として、新たに死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件が追加されることとなりました。

③実名報道が解禁される

特定少年につき公判請求されると、略式手続の場合を除き、推知報道禁止規定(第61条)が適用されません。

推知報道とは、氏名や住所等の個人を特定し得る可能性がある情報をメディアで報じることを指します。

ごく簡単に言うと、18歳以上であれば、今後は少年法の適用範囲でも実名報道される可能性があるのです。

Q2.改正少年法でも変わらないポイント

特定少年に対しても従来通り維持される運用(一例)

・全件家裁送致

犯罪の嫌疑があるときは、原則として全ての事件を家庭裁判所に送致する運用

・少年鑑別所送致等の観護措置

勾留の必要性が低い場合は在宅で、必要性がある場合は少年鑑別所で観護する運用

・調査官調査等(科学主義)

少年本人の事情について、専門的知見のある人物による調査・鑑別を行う運用

・試験観察制度

最終的な処分を決めるまでの間に、適切な助言・指導をしながら状況観察する運用

・国選付添人制度

家庭裁判所で審判を受ける時、国費で弁護士を付ける運用

Q3.改正少年法で前向きに捉えられるポイント

①特定少年向けの教育が拡充される

特定少年に対する少年院での矯正教育は、法改正に伴う議論で「18歳未満の者とも20歳以上の者とも異なる取扱いをすべき」であるとされました。

少年院では、子どもと大人の中間である点を踏まえ、具体的に以下のような教育の拡充が図られる予定です。

新しい教育プログラムの導入(成年の自覚と責任の喚起等)
学びの機会確保(高等学校卒業程度認定試験の受験、通信制高校への入学等)
 時代のニーズに対応した職業指導種目の設置(資格取得・職業体験等)
円滑な社会復帰を見据えた多様な活動(早期の帰住先確保等)

②弁護活動には従来通りの効果が期待できる

健全育成目的の理念は守られ続ける点で、たとえ10代終盤の少年であっても、弁護活動に対する家庭裁判所や検察官の反応は大きく変わらないでしょう。

示談や環境調整等の弁護活動には、従来通りの効果が期待できます。

▼少年事件の弁護活動の例

被害者との示談
少年との接見、取調べ対応のアドバイス
裁判官への意見書提出等(勾留の必要がないことの説明)
環境調整、人間関係の修復(不良グループからの引き離し等)
調査官との面接(保護観察以下の処分で問題ないことの説明)

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