産褥期はいつからいつまで?
「産褥期(さんじょくき)」がいつからいつまでなのかはっきり分からないと、知らない間に無理をしてしまうかもしれません。詳しい期間について見ていきましょう。
産後6~8週間ごろまで
赤ちゃんを出産後、約6~8週間の期間を産褥期といいます。ママが元の体に戻るために必要な時期で、まずは体を休めることが肝心です。
産後の体は交通事故に遭った状態に例えられることもあるほどで、赤ちゃんを産むのは、大きな体力や精神力を必要とします。
元気だと感じても、出産してしばらくは様々なトラブルが起きやすいので、無理は禁物です。産褥期に無理をすると、回復のスピードが遅くなったり、後になって不調が出てきたりすることもあるため十分に注意しましょう。
回復のスピードは個人差がありますが、産褥期のおよそ6~8週間はこうした変化の影響で下腹部痛を感じることがあるほか、肌荒れやイライラ、不眠などといったさまざまな不調が心身にあらわれる場合があります。
参考:産褥期はいつまで?産後の過ごし方や体の変化・悪露の対処法を徹底解説 | エナレディースクリニック
労働基準法では原則として就業もNG
会社員など労働者として働いているママの場合、労働基準法によって産褥期の休みが保障されています。産前・産後のママの休養に関しては、労働基準法で「本人が希望した場合に6週間の産前休業を取得でき、多胎妊娠の場合は14週間前から休業に入れる」決まりです。
法律上の義務を守らなかった事業主は罰則も受けます。産後は本人が請求しなくても、原則として「8週間休む決まり」になっており、この時期に体を休めることの重要性がうかがえるでしょう。
ただし、6週間経過後に本人が働きたいと申し出て、医師から支障がないと認められた場合は働いてもよいとされています。
なお、フリーランスの場合は、労働基準法は適用されません。自身の判断で仕事の再開時期を決めますが、労働基準法の基準を参考にするのもひとつです。
産褥期の過ごし方
産褥期の体は普段とは異なるので、過ごし方にも注意が必要です。どのように過ごしたらよいのかを、時期別にチェックしていきましょう。
産後4週目までは小まめに休憩を挟んで
産後すぐは赤ちゃんの近くで横になって過ごします。授乳やおむつを換える程度は構いませんが、意識して休むことに集中しましょう。
周囲のフォローが欠かせない時期なので、家事はパパやほかの家族に任せます。疲れを感じたらすぐに休めるように、布団を敷いたままにしておくと便利です。
4週間くらい経過し、徐々に回復してきたら、簡単な家事から開始します。まだ無理はせず「小まめに休みながらすること」が大切です。夜間の授乳に備えて、昼寝をしてもよいでしょう。
必要ない外出はできるだけ控え、検診や通院で出かける際は、万が一に備えて家族や親しい人に付き添ってもらいましょう。
産後5週間ごろからだんだんと元の生活に
産後5週間ごろになると、体力が回復してきたことを実感できる時期です。身の回りのことは、ほとんど自分でできるようになる人もいます。
順調に回復しているようなら、育児や家事を再開します。個人差はありますが、体調がよくなってきたと思っても、まだ完全に回復したわけではないので、無理をしすぎないようにしましょう。
外出は、近所を散歩する程度から様子を見ながら始めます。約8週目が過ぎれば産褥期が終わるとされていますが、あくまでも目安の期間です。しばらくは日常生活に戻る準備期間と考え、焦らないようにしましょう。
参考:産後の回復のためにできることとは? 産褥期の過ごし方 | 牧田産婦人科
産褥期に頼れる場所やサービス
パパが産休を取れないケースなど、家族を頼れないママは不安を感じて当然です。頼れる場所が分からないと、無理をしてしまうことにつながります。産褥期に頼れる場所やサービスを確認し、少しでも負担を減らしましょう。
子育て世代包括支援センター
妊娠・出産・産後のサポートは、国の取り組みとして行われています。2017年の母子保健法の改正によって「子育て世代包括支援センター」が法定化され、全国の各市町村への展開が進められています。
妊娠期から産後、子育て期に至るまで、保健師や助産師などに相談ができ、支援が必要な場合は該当の機関への連絡などを行ってくれる施設です。
産前にあらかじめ相談をして、産褥期に頼れるサービスを教えてもらっておくとよいかもしれません。まずは住んでいる自治体の取り組みを確認してみましょう。
産後ヘルパー
産後ヘルパーとは、自宅で赤ちゃんの世話・家事・産後のママのケアなどをしてくれる人のことです。民間の産後ヘルパーと、自治体から委託された産後ヘルパーに分けられ、料金や利用期間が異なります。
例えば横浜市の場合、心身の不調が起きている妊娠中の人や、支援が必要な出産後5カ月(多胎児の場合は出産後1年)未満の人を対象に、市が委託した事業者からヘルパーを派遣する仕組みがあります。
自治体から派遣される産後ヘルパーの利用時は、きょうだいがいる場合や多胎児の場合など、家庭状況に応じて利用回数や期間が変わります。
細かい条件は各自治体で異なるので、住んでいる地域の自治体のホームページを確認してみましょう。
産後ケア施設
産後ケア施設は産後の母子を対象に、ショートステイやデイケアなどのサポートが受けられる場所のことです。「産後ケアハウス」や「産褥院」などの名称で呼ばれている場合もあります。
詳細は施設によって異なりますが、赤ちゃんがいる暮らしへの不安解消に役立つ内容になっています。例えば、食事の提供や赤ちゃんの世話方法などを学べるといったサポートが受けられるようです。
利用条件は施設によって異なり、出産後約4カ月までが対象となっている場合が少なくありません。1泊2日~6泊7日の宿泊や、日帰りに対応している施設もあるので確認しましょう。
民間施設と公立施設があり、なかにはパパやきょうだいが一緒に利用できる施設もあります。自治体から委託された施設を利用する場合は、費用を補助してもらえるので、住んでいる地域の産後ケアに関する情報を確認しましょう。
まとめ
産褥期は、出産後約6~8週間までの期間を指し、十分な休息が必要です。とはいえ、慣れない赤ちゃんの世話に追われる時期でもあり、どのように過ごすべきか迷う人も多いでしょう。
約4週目までは無理をせず、約5週目を過ぎ、体力が回復する兆しが見えたら、簡単な家事から開始するのがおすすめです。家族に頼れない場合は、産後ヘルパーや産後ケア施設を利用し、無理は禁物です。
産後のサポートについては、住んでいる地域や施設によって利用できる期間や条件が異なります。利用する予定がなかったとしても、あらかじめ近くの施設を調べておくと、いざというときに頼れるでしょう。