下請けいじめとは?中小企業の担当者が知っておくべき6つのこと

下請けいじめとは?中小企業の担当者が知っておくべき6つのこと

下請けいじめに関するQ&A

Q1.下請けいじめとは?

取引を発注する側が受注する側に対して、自身の有利な立場を利用し、発注条件の改悪や対応困難なことを押し付ける等して、受注側の利益を著しく害することをいいます。

本来なら、著しく利益を害する取引など受注しなければよいのですが、下請け企業の場合はそう簡単にはいきません。

発注してもらわなければ下請け企業は利益を出すことができないので、理不尽な要求でも飲まざるを得ないことが多々あります。

このような下請け企業の弱みにつけこみ発注側が下請けいじめをすることが問題となっています。

Q2.下請けいじめはどのようなケースで問題となるのでしょうか?

下請けいじめに該当するケースは道義的に問題となるだけでなく法律により禁止されています。

日本では、親事業者による下請事業者に対する優越的地位を背景とした濫用行為を取り締まるために下請法(下請代金支払遅延等防止法)という法律が制定されています。

この法律により、親事業者(強い立場)から下請事業者(弱い立場)へのいじめが禁止されています。

ここで問題となるのが、どんな事業者が「親事業者」「下請事業者」に該当するのかという点です(下請法2条7項・同条8項)。

どのような事業者が「親事業者」「下請事業者」に該当するのかは取引内容により異なります。 

「製造委託等」(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託)をする場合(同法2条5項)

資本金3億円超の「親事業者」と、資本金3億円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項1号、2条8項1号)または

資本金1千万円超3億円以下の「親事業者」と、資本金1千万円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項2号、2条8項2号)

情報成果物作成委託又は役務提供委託(上記の場合を除く)(2条6項参照)

資本金5千万円超の「親事業者」と、資本金5千万円以下の「下請事業者」(個人も含む)の取引(2条7項3号、2条8項3号)または

資本金1千万円超5千万円以下の「親事業者」と、資本金1千万円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項4号、2条8項4号)

Q3.下請いじめにあったときはどのように対応すれば良いのでしょうか?

下請法違反があれば公正取引委員会に通報することは可能ですが、下請事業者の事業継続を考えると、通報が必ずしも得策とは限りません。

以下、下請けいじめにあったときの対処法を確認していきましょう。

①まずは企業間で交渉する

公正取引委員会に通報する前に、下請事業者がやるべきことがあります。

通報をして事態を公にする前に、まずは企業間で交渉をしましょう。

親事業者としても、下請法違反が明るみにでれば企業イメージの悪化は避けられないため、事態が公になるよりは下請け事業者との交渉に応じることに一定のメリットがあります。

まずは親事業者との間で交渉をしてみてください。

②下請かけこみ寺(中小企業庁)に相談する

中小企業庁では、下請かけこみ寺として、中小企業の取引のトラブルに関する相談を受け付けています。

商品の代金を支払ってもらえない、下請事業者に責任がないにもかかわらず商品を返品された等、取引のトラブルに関して相談に乗ってもらうことができます。

また、トラブル解決に必要な場合は、弁護士に無料で相談をすることもできます。

③調停(ADR)を利用する

取引に係る紛争を迅速・簡便に解決するため、調停手続(ADR)を利用することも選択肢の一つです。

調停人(弁護士)が全都道府県に配置されており、相談者の身近なところでADRを利用できます。

ADRを利用すると、紛争当事者間で和解をすることができる可能性があります。

ADRは訴訟とは異なり公開手続きではないので、当事者以外に紛争の存在や内容を知られずに秘密が守られる点もADRを利用する大きなメリットです。

中小企業の取引に関するトラブルでADRを利用するには、下請かけこみ寺に連絡すれば案内してもらえます。

④公正取引委員会に通報する

上記の方法によっても事態が解決しなかった場合、公正取引委員会に通報することも検討しましょう。

公正取引委員会では、電話による相談以外にインターネットでの通報も可能です。

匿名での相談も可能ですが、なるべく匿名の相談は避けることが推奨されています。

⑤損害賠償請求訴訟を起こす

公正取引委員会に通報したとしても、当事者間のトラブルが解決するかどうかはわかりません。

公正取引委員会は当事者間のトラブルの解決を図るものではないので、未払い代金の回収等、トラブルの現実的な解決を望む場合は損害賠償請求をしていくことが必要です。

まとめ

下請けいじめは本来あってはならない違法行為ですが、現実に発生しています。

下請事業者は弱い立場にあるので、なかなか親事業者に意見を言えない場合が多いかもしれませんが、泣き寝入りをしているとどんどん下請けいじめがエスカレートする可能性もあります。

下請けいじめについてどのように対処すればいいかわからない場合、まずは一度弁護士にご相談ください。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
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また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。

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