シュタイナー教育の特徴は?公教育との違いや授業内容もチェック

第213回 みんなが共感!ママのお悩み
「子どもにシュタイナー教育を受けさせようかな」と、悩んでいる人はいませんか?シュタイナー教育は、個人の価値観を大切にする現代で注目されている教育法です。シュタイナー教育の概要から公教育と異なる点・授業内容まで、幅広く紹介します。

シュタイナー教育とは

シュタイナー教育は、オーストリア生まれの哲学者、ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育法です。まずは歴史や、日本で普及した経緯などを含めて、シュタイナー教育の概要を解説します。

ドイツで誕生した個性を重視する教育法

初めてシュタイナー教育を取り入れたのは、第1次世界大戦が終わった直後の1919年にドイツで誕生した「自由ヴァルドルフ学校」です。

シュタイナーが創設アドバイザーとして携わった自由ヴァルドルフ学校が注目された理由は、豊かな「人間形成」を目標としている点にありました。

子どもの個性を尊重し、備わっている能力を引き出すことがシュタイナー教育の理念です。頭・体・心の自然な成長を促すため、日常生活でも子どものTV・スマホの使用、添加物の入った食材などを控えるように推奨される場合があります。

参考:IT化社会と教育 | 日本シュタイナー学校協会

日本では1980年代から普及

日本でシュタイナー教育が広まった1980年代は、教師主導のもとで行われる詰め込み教育が主流でした。純粋な興味・関心よりも入試・就職などの結果を重視する学校にストレスを感じ、不登校になる子どもも増えていたといわれています。

そのような時代背景から日本の公教育を問題視する人たちを中心に、シュタイナー教育が普及していったのです。

その後ゆとり教育を経て、近年は赤ちゃん・幼児期から学習する「早期教育」も人気です。一方で、AIの発展により知識だけでは通用しない時代がくることから、子どもの個性を重視するシュタイナー教育が注目されています。

参考:シュタイナー教育の概要 | 日本シュタイナー学校協会

家庭生活や転校が難しく感じることがある

シュタイナー教育は、家庭生活において一部制限があるのも事実です。例えばシュタイナー教育では、プラスチックなどのおもちゃは避けて、木・布などの自然素材を使ったおもちゃや、手づくりおもちゃを使うのが一般的です。

シュタイナー教育ではTVやスマホの使用を控えることも特徴で、子どもだけではなく家族の生活スタイルを変える必要がある家庭も多いでしょう。

また、日本でシュタイナー教育を取り入れている保育園・幼稚園・学校の数は、それほど多くありません。転勤などで引っ越す場合、新しい居住地の近くにシュタイナー教育を取り入れている学校がない可能性も考えられます。

シュタイナー教育には独自のカリキュラムが設定されているため、転園・転校をすると慣れるのに時間がかかる点を理解しておきましょう。

シュタイナー教育が日本の公教育と異なる点

シュタイナー教育は、日本の公教育にはない指導法を取り入れています。シュタイナー教育が日本の公教育と異なる点は、大きく3つです。

年齢の枠を超えた縦割り教育

同年齢の子どもたちで編成される公教育とは対照的に、シュタイナー教育では縦割り教育で指導が行われます。縦割り教育とは年齢で区分けしないで、クラスを編成するスタイルです。

異年齢の子どもと関わる機会が多いため、きょうだいのようなつながりをつくりやすいのも特徴です。

例えば年齢が上の子どもは、年下の子どもに道具の使い方などを教えることで思いやり・責任感・自信などの成長が期待できます。一方で年齢が下の子どもにとっては、困ったときに頼れる存在は安心感につながるでしょう。

7年ごとに発達段階を区切って指導

シュタイナー教育では、人間の頭・心・体は7年周期で成長すると考えています。そのため0〜21歳を7年ごとに分け、3つの段階で成長に合わせて指導します。

0〜7歳の第1期は、体を動かして意志を育てる段階です。第1期では遊びを中心に、規則正しい生活を送ることで子どもの意志を養います。

7〜14歳の第2期には、音楽・絵といった芸術を取り入れながら心・感情を養い、同時に自分の表現力や想像力を養うための学習がスタートします。

14〜21歳の第3期は、思考を形成する時期です。第3期では知識を得るだけではなく、論理的・イメージと関連づけた思考をめざします。

参考:シュタイナー教育とは | 東京賢治シュタイナー学校

基本的に同じ担任・仲間と学ぶ

日本の公教育では、1〜2年のペースで担任・クラス替えをするのが一般的です。しかしシュタイナー教育で小学校・中学校の年代にあたる1〜9年生には、基本的に担任・クラス替えがありません。

同じ担任・仲間と学び続けることで、子どもが安心して個性を伸ばせるように配慮されています。人間関係を築くのに時間がかかるタイプの子どもにとっては、同じ担任・仲間で学び続けられるのは心強いでしょう。

シュタイナー教育の授業内容は?

シュタイナー教育では、具体的にどのような授業が行われるのでしょうか?シュタイナー教育の授業には、大きく3つの特徴があります。

ペーパーテストを行わない「エポック授業」

シュタイナー教育を取り入れる学校では、点数をつけて評価するペーパーテストは行われません。レポートの作成・教師の質問に対する回答の内容から、授業の理解度を判断して評価するのが一般的です。

ひとつの教科を重点的に学習する「エポック授業」も、シュタイナー教育ならではの特徴です。学校によって違いはあるものの、毎日100分ほど、2〜4週間かけてひとつの教科を学びます。その後にしばらく別の教科を学ぶことで、知識の定着をめざします。

参考:いずみの学校のシュタイナー教育とは|いずみの学校

言葉・音楽を動きで体現「オイリュトミー」

ギリシャ語で「美しい調和のリズム」を意味するオイリュトミーは、子どもの心・体・精神を整える芸術です。様々な教科を結ぶ役割のあるオイリュトミーは、シュタイナー教育にとって重要なカリキュラムです。

例えばシュタイナー教育では母音・子音の響きや文法などを、オイリュトミーの動きで学びます。そのほか、図形・音楽の法則性なども、オイリュトミーを通して習得するのが基本です。

低学年のうちは、直線・曲線や言葉の音(おん)を表現する教師を手本として体を動します。教師の手本を模倣するうちに言葉・音楽の動きを覚え、自然と法則性が身につくと考えられているのです。

参考:シュタイナー教育とは|宮城シュタイナー学園

感性を育む「フォルメン線描」

自由に直線・曲線・図形・模様などを描く「フォルメン線描」は、芸術的な感性・集中力を養います。シュタイナー教育においてフォルメン線描は、文字を学ぶ導入にも取り入れられている方法です。

ひらがな・カタカナ・漢字・数字はすべて、直線・曲線を組み合わせた図形・模様とも考えられます。書き順・とめ・はねのようなルールを暗記するのではなく、フォルメン線描を通して感覚から文字の理解へつなげます。

参考:特徴的な科目 | 愛知シュタイナー学園 初・中・高等部

シュタイナー教育に関するQ&A

シュタイナー教育に興味はあるものの、子どもに合うかどうかを判断できない人もいるかもしれません。最後に、シュタイナー教育に関する疑問を2つ取り上げて解説します。

モンテッソーリ教育との違いは?

シュタイナー教育と似た教育法として挙げられるのが、イタリア出身の医師によって提唱されたモンテッソーリ教育です。モンテッソーリ教育もシュタイナー教育と同じく、子どもの個性を尊重し、年齢の枠にとらわれない縦割り編成を採用しています。

シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の大きな違いは、教師の関わり方です。感覚を重視するモンテッソーリ教育では教師は裏方に徹し、子どもが興味をもった活動に取り組ませます。

一方でシュタイナー教育にはカリキュラムが設定されており、教師が活動を主導する場面も少なくありません。

卒業後の進路は?

シュタイナー教育を取り入れた学校の卒業生も、一般的な高校生と同じように4年制大学・専門学校・大学院などに進学しています。

なかには海外留学をしたり世界を旅したりと、外国で生活をする卒業生がいるのも事実です。そのほか、社会人として就職するケースや、文芸座の純団員などユニークな職業へと進むケースなど、進路からもシュタイナー教育の型にはまらない指導が分かります。

参考:卒業後の進路 | 東京賢治シュタイナー学校

まとめ

オーストリアで誕生したシュタイナー教育は、子どもの個性を尊重する教育法です。日本の公教育と異なる点は、縦割りの編成・7年ごとの段階を踏んだ指導・担任やクラス替えがないことです。

シュタイナー教育にはエポック授業・オイリュトミー・フォルメン線描のような、子どもに備わっている能力を引き出すカリキュラムが設定されています。

手づくりのおもちゃ・オーガニックの食材などを重視するシュタイナー教育には、家族の理解・協力が欠かせません。シュタイナー教育の理念・授業内容を踏まえ、子どもの性格に合った学校を選びましょう。

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